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「アリの巣に爆竹ぶっ込んでみたら流れ弾がコネシマさんにヒットしました」
「鬱さんとカフェ巡りより大学いも食べたい、マックスバリューの惣菜のヤツ」
「シャオロンさんヤバい見て！ 蚊にかまれた跡がハートになってる、求婚されたキショい」
「エーミールさんまぢでカツラになるかもしれない、この前10円ハゲ見っけた」
────あかん、めっちゃ楽しいねんけど。
シャオロン陥落。
上記の文字を5000兆円フォントで背景に背負ったシャオロンは現在、お寿司屋さんの知育菓子にキャッキャしていた。
いやもうどうしよ。ほんまに楽しい。
朝イチに寝起きのチーノを見て「んぉ、ブス」とかお構いなく宣うし、鬱はゴキブリを食べるという嘘を信じ込んで 鼠を狩った猫みたいに鬱にゴキブリを見せびらかすし、恒例の
手でも繋いでおかなきゃ天道虫でも追っかけに行くけど。帰巣本能があるのかキッカリ10秒経ったら戻ってくるのもポイント高い。
誰やこんなオモロ女を育てたの。最高すぎるやろ。
「何やコレまっず！」
「シャオロンさんがちゃんと説明書読んでくれなかったせい」
「ハァ〜？ 俺のせいちゃうし！」
「だって水は容器いっぱいってゆった！」
「端に切り取れる容器あったやろ！ 2の粉を混ぜる容器に入れるとかアホか！」
「それはそう！ ごめん！」
「素直」
ふっふふ、と笑い転げるのを我慢するシャオロンに空閑はムッとしてみせた。
「まぢ、お寿司屋さんだったから、ほんりょー……はっき？」
「んふ、あっとるあっとる」
「ほんりょーはっきできなかっただけです〜！ ケーキのヤツだったら誰にも負けんから、がちで」
最後にいくらの軍艦巻きを口に放り込む空閑の手をシャオロンが絡めとる。移動中のコレもすっかり恒例になってしまった。と言ってもセクハラだとかではなくて、6年生が1年生の登下校で手を繋ぐのと一緒。放っておけないのが事実。
コレは果たしてガキ扱いなのか。ウーン、分からん。
「今日は書庫室行くんやろ」
理由は、危なっかしいからとか、徒花のようだったからとか、まあ何でもいいのだ。
指を搦めた両の手は、ぴたりと誂えた様に嵌るから。
女の体温で溶けて、一つになってしまえばと思ったから。
「腹拵えも済んだし、はよ行こや」
────今はただ、これに焦がれていれば。
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作者名：___ | 作成日時：2023年7月23日 21時
