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「……、あの、何か」
「や……エーミールさんの目ん玉てやっぱしかわい〜のよな。乳液みたいな色してんのめちゃきゃわだし」
可愛いに固執してるとは思えぬ豪快さでカヌレにかぶりつく空閑を見て、肺が焼けて爛れていく感覚に浅く息を吐き出す。
女と話していると何だか、無性に煙草が吸いたくなる。1番キツくて重いヤツ。吸わなきゃやってらんないのよ。それが何故だかは、冬に留まっているエーミールには分からない。
「貴女の瞳にそう映るのなら、私としてはこの上ない幸福ですよ」
────ヱヱ、本当に。
ふふふと笑う顔は酷く鬱くしい。けれども空閑の美的センスなんて宛にならんので「はえ〜」としか思わなかった。もっと詩的に生きられないのか。
「あぁそうだ。空閑さん」
「もぐ……ぁい」
律儀にゴックンしてから空閑はエーミールを見た。「今から真面目なことを言うぞ！」という顔をして言うので、空閑も下唇を甘く噛んでキュッと口を噤んだ。
「彼らとの不容易な身体的接触は避けてくださいね。ハイエナ達は今
「……身体的せっしょく」
「触っちゃダメです」
「うす！」
様式美となりつつある会話(※空閑は全て真剣である)を交わしてからエーミールは「そう、ですね。何と言えばいいのか」と顎に手を添えて考え込む。
それから癖でッフー……と
あゝ、ダビドフが恋しい。
「貴女は、我々にとって毒ですから」
彩霞と
香るだけで脳髄をとろりと腐らせる腐食の毒。甘い甘い白百合の毒。
きっとコレは。
「岳〜！ 迎えに来たで、ええ子にしとった？」
お茶会はシャオロンの乱入によりお開きとなった。
エーミールの不遜な態度に首を傾げつつアホなので３歩歩いたら忘れた。要領が悪い女なのである。
要領が悪いのでエーミールに言われた事も綺麗サッパリ忘れていた。あんなに真剣に忠告されたのに。
きっとコレはその報いなのだろう。
「岳、岳や、岳がおる。あん、あんな、俺な、ずっと、ずっと見とったんよ。ア、き、気持ち悪いとか、い、言わんといてなっ？ お、俺、岳に拒否されたら、どうすればえ、ええのか、分からんくなってまう、から」
「ア、ささくれ」
翡翠に馬乗りにされ身動きが取れなくなった空閑は呑気に爪とか見てた。
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作者名：___ | 作成日時：2023年7月23日 21時
