BESTの妖物語参之巻 (ページ9)

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side Sakura

ある程度歩いたところで、目的のサウナというものに来た。

サウナ室で光と雄也は楽しそうに会話している。

我は刀だから熱は問題ない。
でもわざわざこんな暑い場所に来るなんて、どういう神経なんだろうか。

でも……

「それで薮がさ……」
「そうなんだ。でもさ、それ……」

笑い合う2人をじっと見つめる。

彼らはみんなそうだ。
ただでさえ忙しいのに影たちとの戦い。
それでも、笑顔で仲間と共に日々を過ごしている。

『桜様、＿＿様が呼んでました』
『わかった。やけに嬉しそうだな』
『＿＿様に特訓をつけてもらえることになったんです』

『皆様と共に戦えるように、もっと精進します！』

「桜！」
「……!! 光、どうかしたか？」
「こっちのセリフ。ぼーっとしてたよ」
「もしかして、桜暑いのダメだった？ごめん」
「いや、大丈夫だ。2人共すまない。考えごとをしてただけだ」
「ならよかった。そろそろ出よっか」

雄也の言葉で、部屋から出ようと立ち上がる。
昔のことを思い出してしまっていた。
心配かけてしまったな。

それからもサウナを楽しんで、今は外気浴中。

「桜、ととのえた？」
「多分」

雄也の問いかけを返しながら、のんびりと休んでいる。

"……ら。……桜！ "

大貴の声が聞こえる。
やけに焦っているような……。

少し不安に思いながら、大貴の声に応じる。

"どうした？"
"桜、2人とまだ一緒だよね"
"あぁ、今ととのってる所だ"
"羨ましい……じゃない！今ちょっと影のことで大変なことになってて……"
"わかった。2人を連れていけばいいんだな"
"うん。みんなで行った方がいいって薮ちゃんたちが"

どうやら他の2人は大貴と一緒にいるみたいだ。
電話はロッカーに入れてるし、我経由で連絡を取ったんだろうな。

いつの間にやら時も止まっている。
すぐさま2人に今の話を伝え、妖力を頼りに現場まで向かった。