BESTの妖物語参之巻 (ページ6)

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「話を聞いてなかったのか？」

桜が恐る恐る聞いてくる。
失礼なこと言うなぁ。

「わかった上で言ってるよ」
「じゃあなんで……」
「桜を"仲間"として誘ってるんだよ！」

俺の言葉に首を傾げる桜。
いや、桜以外のみんなもちょっとわかってなさそう。

「これまでの桜は強力な妖刀、つまり道具として扱われてたから暴走した。だけど妖刀として使うんじゃなくて、"仲間"として一緒に戦うんだよ。……いい考えだと思わない？」
「桜単体で行動できてるし、桜が戦っても大ちゃんに影響はなかった。これって案外大丈夫……かも？」

伊野ちゃんが不安ながらも考えを言ってくれる。
そこまで考えてはなかったけど、伊野ちゃんの言う通り今のところ全然平気なんだよね。

「いやいや、本当にそれでいいのか？」

「大ちゃんが問題ないなら俺は問題ないよ」
「相変わらず有岡くんはポジティブだね。俺も賛成」
「戦力的にも助かるし、大ちゃんがここまで言うなら仕方ない」

桜が尋ねるけど、光くんと髙木も俺の話に乗ってくれる。
薮ちゃんも賛成してくれたし、多数決的にもこれで決定だね！

「正気か？これからもっと過酷な戦いになるぞ」
「それでも桜だけが独りで悲しんでるなんて嫌だ。これ以上、桜に悲しい想いをさせたくない」

桜の手をぎゅっと握りしめる。

「だから信じて、一緒に戦おう」

この言葉に、桜は何か覚悟を決めた顔になる。
そして俺に手をかざす。
その瞬間、頭が酷い痛みに襲われる。

「……っ」
「桜、大ちゃんに何を」
「記憶を戻した反動が来てるだけだ。すぐに落ち着く」

薮ちゃんの言葉に桜が返す。
記憶も戻してくれたみたいで、俺含めてみんな安心した。

そんなことを思ってる間にも、どんどん思い出が蘇ってきてる。

「大貴。お前の言葉、信じていいんだな」

桜が俺の目を見て聞いてくる。

「もちろん！」

まだ少し頭が痛むけど、大丈夫だって伝えるために笑って返した。

みんながいるし、これからは桜もいる。
きっと俺たちなら、どんなに過酷な戦いでも諦めずに進んでいける。

根拠はないけどなぜかそう思えた。