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side Daiki
これで終わり。鏡月さんが過去を話し終える。
重く、暗く、悲しく、衝撃的な桜たちの過去。
なにか言おうにも、言葉が出てこなくてもどかしい。
けどそれはみんなも同じみたいで、この空間が静寂に包まれていた。
「話は終わっただろ。時計の針を進めろ」
先に戻ると言いながら、桜はこの空間から姿を消す。
その姿は、どこか悲しそうに思えた。
「……どうして今だったんですか?」
薮ちゃんが鏡月さんに尋ねる。
「ここにいたのも偶然とは思えない。どうしてこのタイミングで桜と黒炎の話をしたんですか?」
「前者は本当に偶然ですよ。たまたま知念くんが来たんです。もはや運命ですね」
鏡月さんは笑みを浮かべてはいるけど、桜と同じで悲しみを感じられる。
「桜様は焔さんと別れてから、妖刀として様々な主人に使われていました。しかし、ほとんど全員が桜様の力に耐えきれず、嬉々として全てを斬る狂った獣と化した」
以前見た夢での出来事を思い出す。
『どうせ狂ってしまうなら、次は狂ってもいい人でありますように……』
自分の力でたくさんの人が狂ってしまったことに苦しんでた桜。
その上、唯一共に戦えてた相手が敵だなんて。
桜の苦しみは、俺の予想をはるかに超えていた。
「そんな中、あなたたちは違いました」
鏡月さんが俺を真っ直ぐ見据える。
「私は元剣士の1人として時に導き、鏡を通して見てきました。あなたたちはこれまでの方々と違う。新たな道を見つけ、桜様と共に戦う道を選んだ」
急に鏡月さんが頭を下げてきて、ついビックリしてしまう。
「だからこそお願いしたいのです。どうか黒炎を、焔さんだった頃の優しい彼に戻して欲しいのです。焔さんはもちろん、桜様や炎鬼くんを救うためにも」
鏡月さんの言葉に反応しかける。
しかし、その直前で動きを止めてしまった。
とてつもない悲しみと怒りを持った黒炎。
俺たちは、黒炎を助けることができるのだろうか。
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作者名:あやか | 作成日時:2022年7月10日 1時