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焔を黒いモヤが覆う。
彼の気配は、影とほぼ変わらないものになっていた。
「もうやめろ! お前、もう影に……」
「……そうだな。俺の炎も、黒く染ってしまった」
焔が手から狐火を出す。
彼の言うとおり、その炎は黒く染っていた。
「桜、お前はどうする。我と共に来るか?」
焔は桜に手を差し伸べる。
しかし、桜はその手を取らない。
「我は、お前と共に影を倒すために作られた刀だ。怒りや恨みで影の元に堕ちたお前とはいれない」
「……そうか。なら、これで別れだ」
焔が自身の周りに黒い炎を纏わせる。
桜の前から姿を消そうとしているのだろう。
そんな焔に、駆け寄る鬼が1人。
「……炎鬼、何をしている」
「炎、鬼?」
「俺は、主様と一緒に行きます!」
炎鬼が焔に抱きつく。
その姿に、桜も焔も困惑していた。
「どういう意味かわかっているのか?」
「わかっています。でも俺は主様を1人にしたくありません。なにがあっても、主様に着いていくと決めたんです」
炎鬼の力強く抱きしめる腕を、焔は振り払うことができなかった。
「桜、すまない。鏡月にも伝えてくれ」
「…………」
桜には、焔を引き止める言葉が思いつかない。
何も言うことができなかった。
「次会うときは敵だ」
「……申し訳ございません」
そう言い残し、消えていく。
森には、桜と人間の死体だけが残された。
これが五剣士の始まりと、のちの黒炎である焔との絆の終わりだった。
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作者名:あやか | 作成日時:2022年7月10日 1時