BESTの妖物語参之巻 (ページ41)

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あれ？
誰かが俺を起こしてる？

目を覚ますと、桜が俺を起こしてくれていた。

「俺、一体……」
「やっと最後の方が起きましたね」

声がする方を見る。
そこには先に起きてたみんなと、さっきの巫女さん。

そうだ。俺らは鏡の中に吸い込まれたんだ。

「貴様、何者だ」
「……千年も昔のことです。桜様が気づかなくても当然ですね」
「なに？」

桜が睨んでも、巫女さんは平然としたまま。
しかも、桜のことも知ってるなんて。

「この姿なら……わかっていただけると嬉しいのですが」

そう言って、巫女さんの身体が光り輝く。
するとその姿は、大人びた女性になった。

「桜様と薮さん以外は初めましてですね」
「え……薮も？」
「まさか、協力者？」

巫女さんの挨拶に声を出した光くんを含めて動揺してしまう。
けど、冷静でいてくれた伊野ちゃんがすぐに薮ちゃんとの関係性に気づいた。

確かに、巫女さんと協力者が同一人物なら、桜のことを知っててもおかしくない。

「薮くん本当なの？」
「そうだ。……まさかここの巫女だったとは思わなかったけど」

髙木が確認を取ると、予想通り協力者だったみたい。

「お前、まだこっちにいたのか」
「えぇ。特別に許可を頂きまして。あ、名前を言わなくてはいけませんね」

さっきの若者感の強いキャラとは打って変わって、上品な口調で桜の質問に答える巫女さん。

「こんにちは。私は雲外鏡、鏡月とでもお呼びください」

巫女さん、もとい鏡月さんはそう言って微笑んだ。

「私は、影たちの主の真実を話に来ました」

鏡月さんは強く宣言する。
しかし、桜は嫌そうな表情を浮かべた。

「話す必要はない」
「いいえ。話さないままあなたに後悔してほしくない」
「後悔などしない。それに、我が意志など関係ない。我は影を斬るだけだ」

桜と鏡月さんが睨み合う。
けど、鏡月さんが真剣ってことは、とても大事な事実なんだろう。

「桜、話ぐらい聴いてもいいんじゃないかな？」
「だが……」
「俺たちも、知らないままで後悔とかしたくない」

「……いいものでは無いぞ」
「大丈夫だ。覚悟はできてる」

俺に続いた薮ちゃんの言葉に、みんなが頷く。
抵抗を諦めたのか、桜は睨むのを止めた。

「さぁ、ご覧下さい。これが私たちの過去です」

鏡月さんはその一言で、真実を語り始めた。