BESTの妖物語参之巻 (ページ25)

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共に戦う仲間たち前編ページ25

side Daiki

気配が消えた。
……一段落ついたってことだよね。

髙木に声をかけようと近づく。
肩に触れる直前、目の前の髙木が倒れた。

「髙木！」
「おい、大丈夫か？」
「ごめん。相打ちになっちゃった……」

そう言い残して目を閉じる髙木。
息はちゃんとあるけど、妖力はまったく感じられない。
妖の姿も解けて、いつもの姿に戻っている。
札を山田に貼ると同時に、氷雨の力が発動したみたいだ。

「いつみんな動き出すかわからないし、2人を連れて楽屋に戻ろうよ」

知念が2人の無事を確認して安堵する。
確かに、時間を進める前に2人を連れて移動しなくちゃ。

妖の姿は解いて、薮ちゃんは髙木を、俺は山田を背負いながら、知念と一緒に楽屋に戻ることにした。

「みんな！無事でよかった」
「裕翔、お前は大丈夫なのか？」

楽屋には普通に動けてる裕翔。
少し驚きながらも、薮ちゃんが声をかける。
もしかしてとは思ってたけど、やっぱり普通に動けてる所を見るとビックリする。

「うん。けど光くんと伊野ちゃんが……」

裕翔の視線の先には、ぐったりしながら眠る光くんと伊野ちゃん。

氷雨の言葉は嘘じゃなかったみたいだ。

「ゆーてぃー、毛布ない？涼介と雄也も寝かせたいんだけど」
「あるよ。一応、たくさん借りたから。許可取れる状態じゃなかったから無断だけど」

みんなで2人を寝かせられる場所を作る。
その隙に、薮ちゃんがこっそりと時間を進めた。

本番までまだ時間あるからまだ余裕はある。
けど、みんなちゃんと目を覚ますのかな？

「薮ちゃん、大丈夫だよね？」
「力を奪われたけど、それ以外は何も無い。みんなすぐに問題なく起きるよ。山田も問題なさそうだ」
「よかった」

みんなの無事を確認できて、一安心。
でも、まだ終わらない。

だって……

「これで一段落ついた。約束通り、全部話してくれるよね？」

知念が真っ直ぐに俺と薮ちゃんを見つめる。
裕翔も状況はわかってないけど、なんとなく大事な事だって気づいてそうだ。

こうなったら、ちゃんと話さなくちゃ。
これ以上、隠し事はできない。