BESTの妖物語参之巻 (ページ22)

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◆ ページ22

side Kota

なんで、知念が動けてるんだよ。

予想外の展開に、動揺が隠せない。

「なんでここに？」
「なんでって……気づいたら外の様子がおかしかったから、涼介がみんなを探しに行こうって」

なんとか冷静になりながら知念に聞くと、さらに驚きの回答が。

涼介も動けてる!?
裕翔は、どうなんだろうか……。

氷雨の問題が解決しても、他のメンバーがこのことを覚えてる。
けっこう一大事じゃないのか？
桜にもう一度記憶操作してもらうべきか？

……いや、少なくとも今呼んだら知念が混乱しそうだ。
大ちゃんと瓜二つだし。
桜自身も、そのことがわかってるから出てこないんだろう。

「2人ともその格好どういうこと？この状況もよくわからないし」

知念の言葉で考えが中断される。
大ちゃんは軽くパニックになってるみたいで、チラチラと俺の方を見てくる。
ごめん。俺もどうしたらいいのかわからない。

「どういうこと？説明してよ」
「えっと……その、俺たちもちょっと、だよね薮ちゃん」
「あぁ……うん」
「確実に知ってる反応でしょ。僕って、状況説明もできないくらい信用できないの？」

真剣な目で俺たちを見る知念。
やっぱり、最年少の頼みは断りづらい。
それは大ちゃんも同じみたいだ。

「薮ちゃん、もうこれ以上誤魔化すの難しいよ」
「うん。この状況の説明だけでもするべきかもしれないな」
「それじゃあ、話してくれる？」

嬉しそうにする知念に説明しようと口を開く。
しかし……

「薮くん！有岡くん！」

焦った様子の髙木によって、説明は中断になった。