BESTの妖物語参之巻 (ページ3)

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◆ ページ3

side Daiki

『やはり、あいつは優しすぎる。もうこれ以上、巻き込んではいけない』

その声の視線の先には……俺がいた。

……また、寝ちゃってた。

「最近よく寝るな。寝る子は育つってやつ？」
「山田、子ども扱いするんじゃねぇ」

起きてすぐにからかってくる山田を軽く睨みながら、さっきの夢を思い返す。

いつもと違って、今回は夢のことをはっきり覚えてる。
ただ、あの声の主は誰だろう……。

あれ？

「BESTは？」

楽屋にいるのは俺と山田、裕翔、そして知念。
俺以外のBESTの4人が見当たらない。

「僕たちより先に終わったから、もう帰ってるんでしょ」
「でも荷物あるし、まだどこかにいるんじゃない？」

知念と裕翔の話になぜか不安になってくる。
近くの楽屋に知り合いがいるとか、別の仕事の打ち合わせとか普通にありえそうなのに。

やっぱりなんか気になる。
少し探してみようと寝てたソファから立ち上がった瞬間。

「……あれ？」

まるで時間が止まったみたいに、みんなが動かなくなった。

なにが起きてるの？
なんで俺だけ動けるの!?
楽屋の外は……4人は大丈夫なのかな。

「戻せるかどうかわからないけど……とりあえずみんなを探してくるね」

伝わってるかわからないけど、そう言って楽屋を出る。
楽屋の外もセブンの3人のように動きを止めていた。

とりあえずみんなを探さなくちゃ。
でも、どうやって……？

手がかりがなくて立ち止まっていると、かすかになにか音が聞こえる。
人の声と、刀がぶつかる音？

ともかく、こんな状況で音が聞こえるってことは動ける人がいるってこと。
行ってみる価値は充分ある。

俺は音を頼りに全力で走り出した。

「この部屋だ」

誰でもいいから動けてる人に会いたくて、勢いよく扉を開ける。

そこで4人が、すごいボロボロになって倒れてる姿が視界に入った。
そして薮ちゃんが立ち上がり、大きな鎌を持って誰かに襲いかかろうとしている。

「ダメー!!」

止める方法とかなんにも考えてなかったし、武器らしいものもなしに飛び込んだら大怪我する可能性だってある。
だけど、そんなことを気にするよりも先に俺の身体は動いていた。