BESTの妖物語参之巻 (ページ12)

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◆ ページ12

side Sakura

なんとか迷路は破壊され、無事に帰宅。

「なんか羨ましいな〜」
「どうした急に」

帰りに買ってきたビールを飲みながら、大貴はどこか不満そうだ。

「だって……光くんと髙木とサウナ行ったんでしょ。薮ちゃんと伊野ちゃんとも迷路に行ってるうちに仲良くなっちゃってるし」

我自身も今日のような1日が信じられないぐらいだ。

光や雄也と大きく変わった現世を見るのは楽しかったし、慧や宏太にあんな印象を持たれていたことにビックリした。
慧と宏太には警戒されていると思ってたから、そうじゃないとわかって少し安心したりもしている。

本当、ちゃんと話してみないとわからない。
見た目と中身は全く違うことがある。

『＿＿、大丈夫か？』
『…………』
『おい』
『あぁ、大丈夫だ。心配しなくてもいい』

あの時、見ただけで判断せずに話していたら。
なにかが変わっていただろうか。

もしかしたら、彼らを巻き込まずに済んだかもしれない。

「おーい！なにぼーっとしてるんだよ」
「……すまない。ちょっと疲れたなと思ってな」
「そっか。ふふっ」

酔っているのか、大貴が突然笑い出す。

「どうした？」
「桜が楽しそうでよかったなーって」
「そうだな。久々に楽しい日々を過ごせてるよ」

言った後、急に恥ずかしくなって、すぐに腕輪に戻る。

どうか、彼らは我々のような結末にならないように……。
そのためにも、我も覚悟を決めないとな。