僕、憑かれました。その2 (ページ21)

今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:10,048 hit

憑かれにきました。ページ21

side Kei

大ちゃんが元の身体に戻ってしばらく経った。

「伊野ちゃん、電話鳴ってるぞ」
「あぁ、ありがと」

着いてきてくれてる光に言われ、電話に出る。

「もしもし髙木、どうした？」
「ちょっとレポートのことで教えて欲しいことがあって……今から会えない？」
「ごめん。バイトで遠出してるから、明日以降じゃないと無理」
「まじか……薮くんにでも聞くかな。ありがと、バイト頑張ってね」
「うん。そっちこそレポート頑張りなよ」

あれから数年。
俺は大学に通いながら、山田さんのお仕事を手伝ってる。

『伊野尾くんは幽霊にとって落ち着ける存在なんだろうね』
『え？』
『たまにいるんだよ、そういう体質の人。だからみんな君に憑きたがる』
『そうなんだ……』
『せっかくだからさ。その体質使ってできることしてみない？』

なんてことがあって、今はバイト兼見習い？って感じで山田さんや中島くんと交流を続けてる。

バイトの内容によっては週末に遠出できるから、大ちゃんを探しやすいんだよね。

「伊野ちゃんせんぱーい!!」

中島くんが大きく手を振りながら俺に声をかける。

「伊野ちゃん先輩、逃げ出しちゃった幽霊の子見つかりました？」
「まだだわ。どっちに行ったとかわかる？」
「やまがあっちの方向に霊気があるって」
「わかった。そっち探そうか」

中島くんとの軽い打ち合わせを終わらせ、反応があるという森の方へ足を運んだ。