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誰かが俺を揺すっている。
目を覚ますと……確か、八乙女さん。
「おーい。平気か?」
「一応。……ファンシーだ」
「まぁ、おとぎ話っぽくていいだろ?」
辺りを見渡すと見えるのはファンシーな空間。
クラスの女子がよく言う、夢かわってやつ?
地面は雲、空には虹、それと無数の扉。
八乙女さんの言う通り、おとぎ話の世界に来たと言われても、普通に信じてしまいそうだ。
「夢のロビーへようこそ! 扉には勝手に入るなよ。誰かの夢に繋がってるからな」
「ロビー? 誰かの夢?」
よくわからないことばかり言う八乙女さん。
さっきから何を言っているんだろうか……。
疑いの目でじっと見つめていると、どこかの扉が開く音がした。
条件反射で音のした方を見る。
「ふわぁ……」
「やっと来たな。お客さんだぞー伊野ちゃん」
「伊野ちゃん……?」
隣にいる八乙女さんにも聞こえない
ぐらい小さな声で呟く。
それでも伝わったのかな……?
目を見開いた伊野ちゃんが、俺の方を向く。
そして、俺の元へ駆けつけて、抱きしめてくれた。
伊野ちゃんだ……。
触れ合うだけで本物だと実感して涙が出そうになる。
それと同時に、いつもの温もりを感じられなくて、本当に夢なのかもって納得してしまう。
「なんで、大ちゃんが……?」
「探すの大変だったんだぜ。俺は店の手伝いに戻るから、説明よろしくな」
「えっ、説明なしで連れてきたの!?」
「まぁ本人の説明の方がわかりやすいだろ」
それじゃあと手を振りながら、八乙女さんは消えていく。
それを見た伊野ちゃんが一瞬、羨ましそうに八乙女さんがいた場所を見つめた。
「伊野ちゃん教えて。ここは? なんで消えちゃったの?」
「大ちゃんは覚えてるんだね」
「あたりまえだよ。ずっと、ずーっと会いたかったんだよ!」
「そっか。……ごめんね。それと、ありがとう」
こっちこそありがとう。
伊野ちゃんとまた会えた事実、それだけで俺は充分幸せだから。
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作者名:あやか | 作成日時:2024年2月4日 19時