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後ろから誰かが抱きしめてくる。
「前にも言ったでしょ。俺を呼んでって」
俺を落ち着かせようと、優しく頭を撫でてくれる。
伊野ちゃんだ……。
「なんで?」
「知念から聞いちゃった」
知念のやつ……。
話さなくてもよかったのに。
……あれ?
伊野ちゃんがいるってことは。
「ループ系って、地味に怖いよね」
「やっぱり、夢?」
「正解」
いつの間に悪夢に入ってたんだろう。
家まで帰れたのかな? それとも道路のど真ん中?
「いつの間にか寝落ちてた大ちゃんがいきなりうなされたって聞いてビックリしたんだからね」
どうやら、喫茶店から出た時点で夢だったみたいだ。
あんまり長居するとお店にも迷惑だし、伊野ちゃんに食べてもらおう。
「伊野ちゃん、食べてもらっていいかな?」
「そうしたいのは山々なんだけどね……」
なんだか少し申し訳なさそうに苦笑いをする伊野ちゃん。
「ダメなの? 俺の夢、マズかった?」
「そんなわけないよ!! ……こういう悪夢って、原因がある場合が多いんだよね。悩みとか不安とか。だから、再発防止のために原因確認できそうならしたいなって」
「それって。もしかして……シャボン玉の悪夢の時、もっと早くに助けることもできたってこと!?」
「あれも確認しときたくて。……たまにある原因が特にないタイプだったけど」
「酷い!」
「大ちゃんごめん……」
まぁ、今はこのくらいにして……。
「今回のはどっち?」
「感覚的に、なんか原因ありそうだね」
「じゃあ探さないとだ。どうする?」
「それじゃあ……」
伊野ちゃんが俺より数歩前に出て振り返る。
そして、俺に手を差し出した。
「俺と、デートしようか」
その笑顔は、悪夢の中にいるとは思えないぐらい、見慣れたものだった。
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作者名:あやか | 作成日時:2024年2月4日 19時