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その後なんとか目を覚まし、次の日を迎えた。
「……またコーラ1杯で粘りに来たの?」
知念が呆れた顔で見つめてきた。
今日はひかもバイトの日みたいで、コーヒーを飲みながら野菜を切っている。
「違うよ。ここの落とし物って確認できる?」
「財布とか、貴重品以外なら、そっちの箱に入ってるよ」
貴重品じゃないし、あるとしたらそこか。
ひかの言葉に従って中を確認する。
ないな……。
「落とし物あった?」
「……なかった。やっぱり学校かも」
ひかに感謝の言葉を述べ、店を出ようとする。
すると、話を聞くだけだった知念が口を開く。
「また見たの?」
「なにが?」
「悪夢だよ。あまり眠れてないって顔してる」
「……ちょっとだけ」
「伊野ちゃん呼ぶ?」
「大丈夫だよ。伊野ちゃんも俺ばかりに構っていられないし」
話もそこそこに店を出る。
そうだよ。
伊野ちゃんは、現実に戻るために悪夢を食べまくらなくちゃいけないんだ。
俺ばっかりに構っていられないよ。
店を出て周りを見渡す。
見慣れた風景だけど、悪夢をせいで少し怖く感じる。
「大丈夫……。今は現実」
自分に言い聞かせるように呟き、それを確かめるように歩く。
お肉屋さん。
おもちゃ屋さん。
お菓子のお店。
ゲームセンター。
特に問題なく景色が変わっていく。
やっぱり現実だ。
そもそもネガティブなことを考えるのがダメなんだ。
なんか楽しいことを考えよう。
お肉屋さんのコロッケは、ちっちゃいころからお小遣いを握りしめて買いに行ったよな。
おもちゃ屋さんの店主はけっこうこだわり屋。
この前も、この商店街を再現したジオラマを展示してるって聞いて久々に行ったっけ。
お菓子のお店は、お徳用サイズのクッキーやポテチをよく買ってる。
伊野ちゃんと関わるようになってからは、更に来る頻度が上がったかも?
伊野ちゃんとのゲームセンターデート、とっても楽しかったな。
まだ完璧なカッコイイ先輩ってイメージの頃だったから、意外な一面が見れて新鮮だった。
あ、そうそう。
コロッケより値段は少し上がるんだけど、メンチカツも美味しくて……
あれ?
お肉屋さん?
既に、通り過ぎたはず……。
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作者名:あやか | 作成日時:2024年2月4日 19時