僕、憑かれました。 (ページ45)

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◆ ページ45

彼が知念侑李くん。

どこかで見かけたような気がしたので、最近の記憶を辿る。
そうだ。薮を駅まで送りに行った時にぶつかっちゃった子だ。

薮と同じ高校の生徒なのは制服でなんとなくわかってたけど、まさか薮の知り合いだったなんて……。

世界って意外に狭いんだな。

「あの、さっきからなんですか？」

彼、知念侑李くんが声をかけてくる。

無意識にジロジロ見てしまったようで、完全に怪しまれている。

えっと……。様子を見るだけのつもりだったから、なにを話すかとか考えてないや。

「伊野ちゃん、薮ちゃんの名前出したら？」

光が逃げないようにしながら、悩んでる俺にアドバイスをくれる大ちゃん。
確かに薮の知り合いだってわかれば警戒心も薄れるはず。

「えっと……知念くんだよね？薮から話を聞いてるよ」
「……宏太の知り合い？」

知念くんの警戒心が薄れていく感じがする。
大ちゃんナイス！

そう心で感謝しながら知念くんとの会話を続ける。

「そうそう！薮とか小学生のころによく遊んでてさ」
「なにか用ですか？」
「えっとね……。薮に用事があってさ。今なにしてるか知らない？」

ごめん、薮。
なんもないけど、話をするために利用させてもらう。

「宏太ならまだ部活だと思います」

素直に教えてくれるあたり、警戒心はほぼないみたいだ。

その後、なんやかんやありながらも薮の部活が終わるまでの間、校内のベンチで知念くんと話せることになった。