僕、憑かれました。 (ページ42)

今日:29 hit、昨日:24 hit、合計:33,821 hit

◆ ページ42

side Kota

チャイムが鳴り、部活が終わる。

週末の非日常からうってかわって、いつも通りの日常だ。

「おつかれ」

着替えをさっさと済ませて他の部員に挨拶をしながら更衣室を出る。

それにしても、週末は楽しかったな。
伊野尾は元気そうだったし、髙木とかいう面白いやつにも会えたし。

そう思っていると、見覚えのある小さな後ろ姿が見える。
確か……

「知念！」
「宏太」

思いの外声が大きかったのか、ピクリと身体を震わせたあとこちらを振り向いた。

「どうした？もっと早くに帰ってたよな」
「ちょっとね」

知念が苦笑いをする。

知念は同じ委員会に所属する後輩。
同じサッカー好きなのがきっかけでたまに話したりしてる。

「珍しいな。おまえの家反対側だろ？」
「今日はこっち方面に用事があったんだ」
「そうか。あれ？なにか付いてる」

前に行った家とは反対方向から来たので気になって話を続けていると、制服のブレザーに花びらが付いていた。

道端に咲いてるやつじゃない。多分花屋で買ったやつだ。

確か知念はダンス部に入ってたけど、今日は大会はないから花束とかをもらった可能性はない。
とすると……

「墓参りか」

つい考えてることが口に出てしまう。
いや、いくら週末は幽霊と一緒に過ごしたとはいえ考えすぎだ。

そう思っていたが、目の前に見えたのは青ざめた知念。
ごめん、急いでるから。と言いながら素早く俺の横を通って行ってしまった。

本当に墓参りだったのか？
だとしたら、なんであんなに動揺したんだ……