僕、憑かれました。 (ページ38)

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◆ ページ38

side Daiki

伊野ちゃん達が眠り、起きているのは俺達幽霊だけ。

みんな寝ている3人のほっぺを触ったり、起きてないのをいいことにこっそり遊んだりしてる。

そういえば、光くんはどこに行ったんだろう。
近くにいるのはなんとなくわかるけど……。

1階に降りると、光くんがソファーに座って考えごとをしてた。

「光くん」
「……どうした？」
「光くんこそ珍しいね」

いつも他の子と一緒にいることが多いから、1人でいるのはちょっと意外な感じがする。

「あいつってさ……」
「あいつって伊野ちゃん？」
「うん。あいつ精神的にいい方向に向かってるんじゃないか」
「そうなの!?」

俺は全然気づかなかった。

「わかってなかったのかよ。俺より霊力あるくせに」
「そこ関係ある？」
「あるよ。薮と再会してから徐々にあいつの霊感が強くなってる。たぶん霊感の強さと心は関係があるんだろうな」
「そうなんだ。……ってことは前みたいに他の子と伊野ちゃんが普通に話せたりするのかな？」
「前みたいにって？」
「……えっと……ほら！昔の伊野ちゃんの話聞かせてもらった時にそういうとこあったじゃん」
「あぁ……確かにそうだな」

おかしいな。
昔の伊野ちゃんの話のつもりだったのに、一瞬見たことない伊野ちゃんの姿が見えたような。

小さな伊野ちゃんが誰もいない……いや、幽霊の子がいるところに顔を向けて話してる。

俺、何も思い出せないのに……
この風景はなんだろう？

「おい、大ちゃん！」
「……ごめんごめん。ボーっとしてた」
「大ちゃんも珍しいな」
「そう……ねぇ。みんな上にいるし、2人っきりで話さない？俺らも交流深めようぜ」
「仕方ないな。なにから話そうか」
「えっとね……」

どうせ思い出せないし、このモヤモヤはとりあえず置いておこう。
今はただこの楽しい日々が続くといいな。