僕、憑かれました。 (ページ35)

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◆ ページ35

話では理解してもらえたけど、実際に見られたら変だと思われたりするのだろうか。

そう思いながら薮と髙木を見ると、2人はクスクスと笑っていた。

「なに笑ってるんだよ」
「いや、伊野尾くんってこんな表情できるんだなって思ってさ」

髙木の返答に薮も同意するかのように頷く。

そんなに俺が怒ってるのが面白いのか？

「こんな伊野尾見たことないからさ。案外そういうおまえもいいと思うぜ」

薮もそう笑いをこらえながら言う。

こんな俺がいい？
幽霊見えるし、話せるのに。

「伊野ちゃんらしくていいと思うよ」

感情を読んだかのように、大ちゃんが微笑んだ。

そうだよね。
2人はわかってくれてるし、いつも通りの俺でいいのか。

「まぁ、いつもこんな感じ。ごめんね。騒がしくさせて、お客さんが来てテンション上がってるのかも」

一応そう言いながら、3人でリビングに向かう。

もう夕飯の時間だし、母さんなにか用意してるかな？

「そろそろ夕飯にする？」
「賛成！」
「おう」

俺の問いかけに髙木と薮が答える。
それを聞きながら、俺はキッチンに向かったが…

「あれ？」
「けー……ごはん……作れる」
「自分た……ちつくるの」

隣に来てた子たちがなにか伝えてくる。

もしかして、俺もさすがに作れる歳だろうからって用意してくれなかったの!?
人様に出せるような料理はさすがに無理だよ母さん。

……まだ慌てる時じゃない。
薮か髙木がいる。どっちかはできるはずだ。

すぐに戻って2人に尋ねる。

「どっちか料理できる？」
「無理」
「ごめん、伊野尾くん」

両方無理なのかよ。
一体どうすれば……

「仕方ないな」

ふと、光の声が背後で聞こえたと同時にプツリと意識が途絶えた。