僕、憑かれました。 (ページ30)

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◆ ページ30

食事を終えた俺達は駅の近くへと向かった。

「ここで大丈夫か？」
「うん。……あれ？」

ふとかばんを見ると、ファスナーが少し開いていた。

かばんを開けてみると、そこには見覚えのない袋があった。
中身は……壊れてしまったオルゴール。ご丁寧に散らばった部品まで。

そうだ。これなんとかしないと。

「薮、オルゴール直せる店ってある？」
「急にどうした？」
「前にくれたオルゴール、落としちゃって」
「今あるか？」

オルゴールが入った袋を薮に渡す。

「確か、これ買った店で無料修理サービスやってたはず……部品が欠けてたり不足してたらお金かかるかもしれないけど大丈夫だろ」
「そっか。よかった」
「俺が修理出しとくよ。直ったらそっち行くわ」
「え。いいの？」
「当たり前だろ。まだ話し足りないし」

また、会ってもいいんだ。

「薮」
「どうした？」
「また今度」
「そうだな。今度連絡するよ。またな」

俺は、薮が見えなくなるまで手を振り続けた。
これって……仲直りでいいんだよね。
また仲良くなれて本当によかった。

「本当よかったよ！」

声がして振り返るとなぜか泣きそうになる大ちゃん。みんなも俺の周りに集まってくる。

そんな中。

「笑ってる。……よかった。」

聞き覚えがある声。だけど、大ちゃんや光じゃない。

この声は……

俺は、声が聞こえた方へと駆け出した。

「君！待って」

俺は逃げようとする1人の幽霊を呼び止めた。

「君、あの時の子だよね。駄菓子屋の近くにいた」
「ごめんなさい。ごめんなさい。僕のせいで……」

何度も謝ってるその子を抱きしめる。
よっぽど力がある幽霊じゃないと触れないほど力は弱まってたはずなのに、今回だけはその子に触れることができた。

「俺の方こそごめん」
「えっ？」
「俺のせいでこうなったのに、勝手に君のせいにしちゃってた。君は悪くないよ」
「僕ね……ずっと謝りたかった。お兄ちゃんが暗い顔ばっかりしてるのは僕のせいだって思ってた。だから、お兄ちゃんがまた笑ってくれて本当に嬉しい。お兄ちゃん達がまた仲良しになれて本当によかった」

その子の身体がだんだんと光の粒子になっていく。
多分、これが成仏なんだろうな。

「じゃあね。お兄ちゃん」
「ばいばい。……またいつか」

その子が完全に粒子となって消えていった。