僕、憑かれました。 (ページ1)

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憑かれました。ページ1

side Kei

……ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ

目覚まし時計の音が鳴る。
今日も爽やかな朝がやって……

「…………」

……来なかった。

目が覚めた俺を覗き込んでるのは、この世のものではない存在。幽霊ってやつだ。

俺は小さい頃から幽霊が見えていた。
そのためか、昔から大量の幽霊に取り憑かれていた。

しかも幽霊はこの世の存在ではなくなったからか、遠慮がない。
いつでもどこでも現れるし、たまに話しかけてくるやついるし、一度に大量に憑くからすごい疲れる。こっちの事情は完全に無視。
おかげで四六時中疲れちゃって、オシャレを気にする余裕がなくなり、クラスでは黒髪黒縁メガネの地味キャラになってしまった。

本当に幽霊なんて嫌いだー！

今日も今日とて、自分も食べたいと騒ぐ幽霊たちを防ぎながら朝食を食べ、家を出る。

少しでも憑いてる幽霊から離れようと少し早歩きで学校に向かう。
その道中も、そこらかしこに現れる幽霊たち。
もっとスピードを上げたいけど、こいつらに憑かれて身体がいつも重いから運動する気もなく、その結果体力がないため上げられない。

そう考えている内に学校に到着した。
即座に教室にある自分の席に座り、本を読み始める。
相変わらず肩の上に幽霊たちがいるが、本の内容に集中している分、少しは気が紛れる。

「今日も朝から疲れた顔してるね」
「こっちにも色々とあるんだよ」
「なにそれ、早朝バイト？」
「それならどれだけ良かったか……」

隣の席で、俺に話しかける数少ない存在である髙木が話しかけてくる。
早朝バイトなら給料が入ってくる分何倍も嬉しいよ！

しかし、そんなことをあいつに言う訳にもいかないので黙っておく。

これからもこうやって幽霊に憑かれながら生きていくのだろうか。

「誰でもいいから、こんな人生を変えてほしいよ」

俺は髙木に聞こえない程度に呟いた。

『……いいよ』
「ふぇ？」
「伊野尾くん、どうかした？」
「な、なんでもない？」

単にクラスメイトの声だったのか、それとも幻聴か。

クラスメイトの声だと信じて、僕はまた本を読み始めた。