Doll with a heart (ページ49)

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次の日。

「それじゃあいってくるね。」
「いってらっしゃい。」

まさか僕が探してた彼が大貴だったなんて。
ってことは大貴と僕が両想いになれば、僕は人間になれるんだよね。
やっと見つけて、彼の生まれ変わり。まさか、こんなにも近くにいたなんて…。

「ふふっ。」

僕は思わず笑みが零れてしまった。

・

お昼すぎ、夕飯用の食材を買うためにスーパーに出かけた。
今日は何にしようかな…

「あれ？慧くん嬉しそうだね。」
「髙木！」

大学にいるはずの髙木がスーパーに来ていた。

「大学は？」
「俺はもう終わったから、帰る前に買い物。慧くんは？なんか嬉しそうだけど。」
「ふふっ。聴いてくれる？」

何故かこの気持ちを誰かに話したくて、近くにある公園に移動してこのことを髙木に話した。

けど、何故か髙木は苦い顔をしていた。

「慧くん、本当にそれでいいの？」
「なんで？」
「慧くんはなんで有岡くんと両想いになりたいの？」

それは、大貴が彼の生まれ変わりで…

「今の慧くんの話からは、有岡くんに対する恋愛感情が感じられない。有岡くんがその人の生まれ変わりだから付き合いたいように思える。

…これじゃあ有岡くんを利用してるだけ。そんなので本当に両想いって言える？」
「そんなこと…。」

利用だなんて、そんなこと思ってなかったのに…けど、髙木の言葉に否定できないのも事実だった。

「僕は…」
「もちろん、俺は慧くんが人を利用するような奴じゃないことは知ってる。けどこのままだと、有岡くんにもその人にも失礼だよ。
もう少し考えてみた方がいいと思う。」
「わかった。ありがとう。」

いつの間にか、僕は家に帰っていた。

髙木が言ってくれなかったら、僕は大貴を利用するところだった。
僕に親身になってくれた大貴を傷つけるところだったんだ…。

「僕、最低だ…。」

空はもうすぐ雨が降るのか黒い雨雲で覆われていて…

僕の心は朝とは正反対で、今の空のように暗かった。