Doll with a heart (ページ35)

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◆ ページ35

いつの間にか僕はユウの家に戻っていた。

「おや、随分と遅いお客さんだね。」

そうからかってくるユウ。しかし僕の表情を見た瞬間、ユウは真面目な顔になった。

なんらかの方法で知っていたんだと思う。
僕の追われている、匿ってくれといった早口で支離滅裂な説明でもわかってくれた。

「とりあえず無事で良かったよ。ところで___は？」

ユウが彼のことを聞く。

「・・・」
「どうした？」
「___が…殺された。」
「なんだって！？」
「神様への生贄を奪った敵だとかで殺された。俺は、助けたかった。…けど怖くって、逃げてしまった。」

僕を庇ってくれたのに、人形だからちょっと痛くても大丈夫なのに、彼みたいに撃たれて苦しむのが怖くて…。

僕は彼を置いて逃げてきてしまった。

「仕方ないよ。村人たちはくだらない言い伝えに縛られて、こっちの話を聞いてくれないからね。」
「俺のせいで___が…。」

僕のせいで彼が死んでしまった。

昔のことを思い出す。彼と出会う前、村の奴らが僕を化け物のように扱ってきたことを。

僕のような化け物が幸せになったらダメだったんだ。

こんなことになるぐらいなら。

「感情なんて…ほしくなかった。」

人形だから心臓なんかないはずなのに、胸が締め付けられるように傷んだ。

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