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彼が飛び出してくるとは思わなかったのだろう。村人たちが狼狽える。
僕も最初は戸惑っていたが、彼を背負い歩き出した。
大丈夫だ。まだ息がある。ユウの所に行けば、助けられるだろう。
「…大丈夫?ケガ、無い?」
彼が小さく呟いた。
普段こんな小声で話さない彼を見て、だいぶ弱ってることがわかる。
「俺が撃たれても平気ってわかってるでしょ。」
「ごめん、身体が勝手に動いちゃってさ。」
「そっちこそ大丈夫なの?」
「大丈夫だよ…。ねぇ、慧。」
「何?」
「…俺のこと、置いてって。」
「なんで!?ユウの所に行けばきっと!」
「自分の身体だからわかるんだ。たぶん無理だと思う。」
「…嫌だよ。」
「何言ってるの!俺を背負ってたら、村の人に捕まっちゃうよ。俺は慧に捕まってほしくない。
前に約束したでしょ。大丈夫、生まれ変わってまた会いに行くから。」
そのとき、以前彼とひまわり畑で交した約束を思い出した。
『俺たちが死んでも、生まれ変わっても一緒だからね。』
「絶対にまた会えるから、慧は早く逃げて。」
彼は僕に心配をかけないように、少し辛そうにしながらも笑った。
その笑顔を見せたあと、彼は瞼を閉じた。
それっきり、彼が目を覚ますことはなかった。
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作者名:あやか | 作成日時:2018年11月24日 18時