Doll with a heart (ページ23)

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◆ ページ23

side Daiki

慧から語られた過去に、俺は少しパニックになっていた。

魔術師だったり、村だったりと、現代設定じゃなさそうな話だし。
何より回想時の慧、自分のことを俺って言ってたよね！？

「大貴、どうかした？質問？」
「ごめん…ちょっとパニックになっちゃって。
ってか俺って？慧は、僕呼びだったよね？」
「あぁ。当時は、俺って呼んでたみたい。思い出したの最近だから、僕自身も違和感あるんだよね。」
「思い出したって…ひまわり見て気を失った時？」
「うん。」

なるほど…。謎の１つはこれでわかった。
慧が突然、知らないことを知ってたり大人びたのは、さっき話してた村？時代の慧の記憶が戻ったからだったのか。

「…よし。慧、話続けて。」
「うーん。今回はここまででいいや。」
「えっ…。」

続きを聞こうと思ったら、慧は突然回想を中断した。

「なんで？」
「パニックになったって言ってたでしょ。話はまだまだ長くなるから、やっぱり中断。」
「ええっ！？まだ序盤でしょ？せめてざっくりと話して。」
「えっと…。人間になるために人を探さないといけなくて、外で人探しをするために、今回弁当を隠した。」
「ざっくりしすぎ……って人間になる？」

今、人間になるって言ったよね？
人形が人間になれるの？

「うん。ユウの魔法でね。」

よくわからないけど、ユウさんが有能だってことはわかった。

「だから、これからは外に出ていいかな？」
「うん。けど、暗くなる前に帰りなよ。」
「わかってるよ。」

慧はそう言って嬉しそうに笑った。
しかし…

「でも、その慧と仲良くなった人はどうなったの？」
「……その話はまた次のとき。早く寝ないと、ダメだよ。」

こう言った瞬間、慧が悲しい顔をしていた。
その人となにかあったのかな？

ひまわりのときも悲しそうな顔をしてたし、その人になにかがあったのは明白だった。

「ごめんね、大貴。」
「いいよ。慧が話したい時に続き話して。」

慧は微笑んだけど、どこか悲しそうだった。

やっぱり慧の悲しい顔を見るのは辛い。
それは、単なる同居人としての感情とは違う気がした。

この感情は、一体何なのだろうか。

まだわからないことだらけだけど、今は慧が人間になれる方法があるのなら、全力で手伝えるといいなって思った。

この時の俺は、これから大変なことが起こるということも知らず、ただそう呑気に思っていた。