Doll with a heart (ページ17)

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慧と外の世界ページ17

side Daiki
おかしい…。
最近、慧がおかしすぎる！
今だって…

「け、慧。何してるの？」
「読書。見たらわかるでしょ？」

うん。見たらわかるよ。
問題は中身だよ。難しそうな本だよ！
大学生だからっていう理由で買ったけど、訳わかんなかったやつだよ！

「む、難しそうだね。」
「けっこう面白いよ。」
「そ、そっか〜。」

気を失ってからというもの、慧は急に頭がよくなった。
というのも、教えてないことや、知らないはずのことも何故か知っていたのだ。
一昨日には軽い計算なら出来るようになっていた。

それに、慧は急に大人っぽくなった。
人形で何も知らなかった慧は、子どもっぽいっていうか、ふわふわしてた。
けど、今の慧は大人っぽくなってて、見た目通りの大人の男性といってもいいぐらい。

そりゃあ、大人っぽい慧はちょっとカッコイイしドキドキするけど…。
なんか儚くもなったっていうか…。目を離した隙に、どこか遠い所に行っちゃいそうで不安…。

「…き……大貴。」
「うわっ！慧、どうした？」
「大貴、夕飯どうする？」
「うーん。オムライス！」
「ふふっ。相変わらずだね。」
「別にいいだろ。」
「そうだね。」

「…なぁ、慧。」
「どうかした？」
「慧、本当にどうかした？最近、雰囲気違うけど…。」
「…そうかな。」
「なんか、変わったよなって思って。」
「今の僕は、嫌だった？」
「嫌じゃないよ。ただ、ちょっと気になっただけ。」
「そっか。…そうだよね。」

慧が微笑みながら俺の方を振り向く。
けど、その笑みは少し寂しそうだった。

「ごめん。もう少しで心の準備ができるから、その時に話していいかな？」
「…うん。」

寂しそうに微笑みながら言う慧に、俺は肯定するしかなかった。

……あれ？
この慧の表情、ずっとずっと前に見たことあるような気がする。
まぁ、気のせいか。

とりあえず、その心の準備が整うのを待ちながら、今日を終えた。

明日、大変なことになると知らずに…。