フェルマーの最終定理なんて解らないけど【QK】【trsk 】 (ページ8)

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5月中旬　同時刻・続ページ8

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なんでも、福良さんはこれからプロデューサー同士の会議があるらしいし、伊沢さんも撮影が始まるらしい。

だが新人に社内の案内や仕事の説明はしなければいけない。

そこで暇そうにしている僕に白羽の矢がたった、ということ…らしい。

確かに記事の提出期限はまだ先だし、出演する予定の動画の撮影も無い。暇といえば暇だ。

『うーん、僕は良いけど。相手の方はどうなのさ？』

そこがネックなんだよね。これであのお人形さんこと新人ちゃんに嫌な印象を持たれてしまったら少し…いや、だいぶ辛い。

「まぁ大丈夫でしょ。表情はかなり乏しいけど人見知りはしなさそうだったよ」

福良さんもやっぱり無表情だとは思ってたんだな。

『まぁここでゴネても得なんぞないので、僕は大人しく着いて行きますよ。』

福良さんに着いて行き、途中で伊沢さんを拾いながら彼女の待つ会議室Bへ向かう。

福良さんが扉を開けると、彼女は僕の方を見て少し固まった後、素早く立ち上がって会釈をした。

「改めまして、QuizKnockライターのアルバイトをさせていただきます。草薙瑞稀と申します。この度は採用いただきありがとうございます。」

相変わらず表情に変化は見られないけど、ゆったりとした声色からこれが彼女の通常運転だということが窺える。

うーん。しかし読めないな。ずっと無表情だと不安になる

「ご丁寧にどうも。2次試験振りですね。改めまして、CEOの伊沢です。」

伊沢さんが先陣を切って返事をする。ニコニコとお辞儀をしながら挨拶する姿は正に理想のCEOだった。

草薙さんは律儀に会釈をする。

年功序列的に次は福良さんかなぁなんて思って福良さんが挨拶するのを待つも、福良さんは口を開かない。

あれっ？これは僕が言うパターン？

福良さんの方を向けば、目で早くしろと訴えている。
ハイ、今やります。

『初めまして、鶴崎修功です。ライターをしています。2人はこれから用事があるらしいので僕が色々説明して行きますね。これからよろしくお願いします』

先ほどから疑問に思っていたであろう僕の存在意義を伝えつつ、笑顔を意識しながら自己紹介をする。

その瞬間、彼女の表情が少しだけ動いた。

きっと僕が呼ばれた理由に合点したからだろう。気怠げな目が少し見開かれた。

もちろんすぐ元に戻ってしまったけど

前言撤回。

彼女は意外とわかりやすいのかもしれない。

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