フェルマーの最終定理なんて解らないけど【QK】【trsk 】 (ページ11)

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『カカオマスの薫りと共に』ページ11

※全っ然本編進んでないですが、せっかくのバレンタインなので番外編を挿入します。よろしければお楽しみください

2月上旬、恋する乙女ならこれから来たるイベントに向けて準備しだす頃だろう。

草薙瑞稀もまた、険しい顔で2時間ほど前から料理アプリと睨めっこを続けていた。

元来バレンタインデーというのは男性から女性に向けて花束やメッセージカードを贈る日である。日本の製菓会社の策略に乗せられてチョコレート菓子など作ってたまるか、という精神で生きてきた草薙は、人生で一度もバレンタインチョコというものを作った事がない。

というよりも、彼氏は以ての外、好きな人など出来たことなかった草薙にとって義理チョコの文化もなかった学生時代、バレンタインデーは普通の日だったのだ。

そんな草薙が今、想い人に少しでも振り向いて欲しいからという単純明白な理由でチョコレートを作ろうとしている。恋は盲目とはよく言ったものだ。

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草薙side

マカロンにクッキー、ブラウニー、トリュフ、生チョコ…

バレンタインチョコというのはこんなに種類があるものなのか。全くもって鶴崎さんの口に合いそうなチョコレートが思い浮かばない。

今までバレンタインデーという行事に関わってこなかった弊害がここで起きるとは思いもしなかった。

今年から入ったQuizKnockの皆さんにも渡そうと思っていたのだが、いかんせん種類が多すぎて迷ってしまう。

製菓初心者の私は沢山失敗することが見受けられる為こんな所でグズグズしていられない。

QuizKnock の皆さんには、レシピが目に入ったからというあまりにも失礼な理由でブラウニーを作ることにした。これならわりかし簡単に出来るだろうし片手で食べれる為作業もしやすい。我ながら良いチョイスである。

さて、問題は鶴崎さんである。彼はそもそも甘いものが得意なのだろうか。そしてこんな女が渡したチョコレートなんぞを喜んで受け取ってくれるのだろうか。

オフィスでよくチョコレート菓子を食べている所を見かけるから甘いものは平気なのだろう。ここは彼の優しさに漬け込んで簡単に作れるものを作ってしまいたい。しかしせっかく想い人に渡すのだからちゃんとしたものを作りたい。
菓子言葉ではマカロンが1番妥当なのだろうけどいかんせん難易度が高すぎる。己の技術不足が恨めしい。

あれこれ考えつつも、1人の恋する乙女の夜はふけていく。