笑顔の魔法 (ページ5)

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You

『・・・』

目を覚ますと真っ白な部屋の中にいて、隣には私の手を握ったまま寝ている李雨がいた

李雨「・・・ん、え、A！！！」

そんなに騒ぐことなの、w

泣きながら抱きついてくる李雨に声をかけようとする

『(ﾊﾟｸﾊﾟｸ)』

え、？

李雨「ぐす、っA？」

『(ﾊﾟｸﾊﾟｸﾊﾟｸ)』

声を出そうとしてるのに、なんで、

李雨「声が、出ないの・・・？」

自分の意志とは裏腹に李雨の耳には全く聞こえていない私の声。

李雨「っ、ごめんね」

なんで、李雨が謝るの、

李雨が謝ることじゃないのに

．．．

その後担当医の方に説明をしてもらった
声が出ないのはその時の恐怖によるものらしく、いつ治るか、いつ声が出るのかは全く分からない状態。

『・・・』

李雨「うん、わかった。飲み物買ってくるね」

そのため今は紙とペンを使い、李雨や他のメンバー、マネージャーさん、病院の方と筆談で話すことになった

『・・・』

テレビをつけると、

ｱﾅｳﾝｻｰ「昨夜人気アイドルグループの握手会で、男性ファンがメンバーに切りかかるという事件がありました」

昨日の事がニュースになっていた

ｱﾅｳﾝｻｰ「犯行に及んだ男は、「憎かった、消えてほしかった」などと供述しており今も尚事情聴取が行われているとのことです。そして怪我人は、グループのエースである西野Aさんで現在は都内の病院で怪我の回復を「見ちゃダメ」」

『・・・』

消されちゃった

李雨「ごめんね、助けてあげられなくて。あんなに近くにいたのに、」

謝らなくていいと言っているのに謝る李雨。

李雨「ごめん、」

悲しい顔を、させてしまった

この日から私は笑顔の仕方を忘れていたのかもしれない

．．．

Hokuto

「・・・は？」

ｶﾞｼｬﾝ

健太「えちょっと北ちゃん？w」

陣「あーもう、こぼしとるやん！」

握手会があった次の日の朝、ぼんやりした頭でリビングに向かいLIKIYAさんによって用意されていた朝食を食べていると目に入ったニュース

衝撃を受けて思わず落とした箸とそれに騒ぐ健太さんと陣さんの声は聞こえない

「なんで、」

Aちゃんが怪我・・・？
昨日の握手会で、？

俺がいた時は何も無かった、だから、

「俺が帰ったあと、」

翔吾「あれこの子って、北ちゃんが好きな・・・」

「うん・・・」

俺が帰った後のあの数時間で、こんなことが起きるなんて。

「Aちゃん、」

呆然としながらアナウンサーが話を進めるニュースを見続けた