その 8 ページ9
(……待って……)
理由もわからず、目の前でゆっくりと歩く2人の人影に追いつこうと走る。黒くぼんやりとした影。
(どこに行くの……)
(独りにしないで……置いていかないで……)
孤独を恐れてひたすら走る。しかしその人影は近くばかりか、どんどん離れていく。
ある程度離れた時、周りは一瞬で炎に包まれ、人影はその場で倒れ込んだ。
(死なないで……離して……)
必死にもがく私だが、後ろに引きずられていく。何者かが私を引きずっているようだ。
(お母さん……!お父さん……!)
そこでぼんやりと霧がかっていた人影が明らかになる。
しかし、それは私を遠ざけるように、引きずられるスピードの割に合わない速さで小さくなり、見えなくなった。
「っ……はぁ……なんだありゃ」
夢で見た景色を思い出し、身体中がむず痒い。そして少し寒い。
「本当……意味わからない。」
もう1人になって何年経ったよ。というか一人っ子で1人慣れしているはずだろ。
そうか、久々のホームシックか。親が恋しいか。
後は、エース回であるマリンフォードとアラバスタ編の記憶と、海兵達に連行された時の記憶が混ざったんだろう。
体温で温まった布団に再び私はくるまった。
……ん?布団?ソファに布団ついてないぞ?
眠気を忘れ、目を開いた。
確認してみると、私の上にかかっていたのは布団ではなく、海軍コートだった。
特徴的な青色の袖から誰のものかはすぐにわかった。
と同時に昨日の記憶が蘇り、少し照れくさくなった。初対面なのにあんなことを……思い出すだけで顔が熱くなる。
私はそれを紛らわそうと、コートに身を包んだ。
爽やかな匂いがする。変に甘い匂いが一切しない。ミント系に近い?
つるさんに洗ってもらうとこんな感じなのかな。私も洗ってもらいたいなぁ。
と妄想を中で膨らませていると、扉の開く音がした。
その匂いで目が覚めた私は、体を起き上がらせた。
「起きたか。結構うなされていたが、大丈夫か?」
入ってきたのは、海軍の服装ではない、両手にカップを持ったクザン。
「はい……嫌な夢でしたけど」
「そうか。これ飲めるか?」
差し出してきたのはホットミルク。
「いいんですか?」
「あぁ。少しでも落ち着ければと思ってな」
「ありがとうございます」
それを手に取り、一口。
口に広がった甘さと温かさにより、思わず笑みがこぼれる。
それを確認したかのようにクザンは机に戻り、書類との睨めっこを始めた。
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黒狐(プロフ) - ふぃるさん» 気に入っていただき何よりです!白ひげ海賊団推しなんですね!そこまでできるだけ早く更新できるように頑張ります!コメントありがとうございます! (2017年4月10日 0時) (レス) id: 7667610d64 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃる(プロフ) - 他界他界に思わず吹きましたw これからどんな風にキャラと関わっていくのか楽しみです!(特に私は白ひげ海賊団推しなので楽しみにしてますぐへへ...) (2017年4月9日 23時) (レス) id: aab9086244 (このIDを非表示/違反報告)
黒狐(プロフ) - ルイカさん» 感想、そして応援コメントありがとうございます!更新できるように頑張ります! (2017年1月6日 23時) (レス) id: 337def3edd (このIDを非表示/違反報告)
ルイカ(プロフ) - さらっと演技したり海軍に潜り込んだりする夢主がすごいです。更新頑張ってください! (2017年1月6日 17時) (レス) id: 4660d06a48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒狐 | 作成日時:2016年1月10日 10時