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やまだが、おれの話を待ってる。
だから、全部を話した。
撮影の様子とかから、裕翔と、話したこと全部。
普通にしてくれる、って、言ってくれたことがすごく嬉しかった。
また戻れたよ、元の関係に。
やまだのお陰だよ、ありがとう、って、感謝を告げた。
「……そっか。
良かったね伊野尾ちゃん」
「うん……、ありがとう」
良かったね、って言うわりに。
憂いを帯びた表情なのは、なんで?
「……伊野尾ちゃん」
「ふぁ?」
「……ゆうてぃーのこと、好き?」
突然の質問に驚き言葉につまった。
どうして、今さらそんなこと聞くの?
そんなこと、やまだは知ってるじゃん。
「好き、だよ……?」
「そっか。
……伊野尾ちゃんさ、泣かなくなったよね」
「ほぁ……?」
言われて気付いた。
そういえばそうだった。
裕翔のこういうとこが好き。
ああいうとこが好き。
そんな話をする度に、すごく苦しくて。
つらくてどうしようもなくて。
もう2度と前向きになんてなれない。
恋なんてできない。
ずっとこの気持ちを抱えたまま、生きていくんだと思ってた。
「……やまだが、支えてくれたから。
ずっと、泣いてるおれの傍にいてくれたから……」
だから、おれは今こうして笑ってられるんだよね。
そうやって、やまだに笑顔を見せた。
そうしたらやまだは、微笑み返してくれて。
……でも、やっぱり憂いを帯びた、哀しげな顔。
ねぇ、さっきからなんでそんな顔をするの?
もしかしてやまだ、何かあったの?
「……やまだ?」
名前を呼んでも返事はなくて。
視線をそらされた。
それに業を煮やして、矢継ぎ早に尋ねていく。
「やまだ、何かあった?
おれでよかったら話聞くよ?
ねぇ、だから話してよ。
やまだおれのこと助けてくれたじゃん、だからおれもっ……!」
「伊野尾ちゃん」
名前を呼ばれた。
そう思った瞬間に。
ぬくもりを、感じて。
鼻腔をくすぐる、やまだの匂いを感じて。
やまだに、抱きしめられてる、って、分かった。
「……え……あの、」
「伊野尾ちゃんが……立ち直ってくれて、本当によかった。
だから、俺はもう終わりにしようと思うんだ」
「え……?
終わり、って……どういう、こと?」
なんで?とか、どうして?っていう、抱きしめられていることへの疑問よりも、やまだの言葉に困惑していた。
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りりた(プロフ) - 夏夢さん» わぁいただいまです(笑)ありがとうございます!3人の行方をぜひ見守ってくださいね(*^^*) (2017年3月16日 23時) (レス) id: 617a50f5a2 (このIDを非表示/違反報告)
夏夢(プロフ) - わぁいお帰りなさいっ(2回目)お待ちしてましたー(*^^*)3人がいい感じに絡まってきましたね。りりたさんのペースでいってください。楽しみにしてます(^-^) (2017年3月16日 21時) (レス) id: 71f7ba549b (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - ココロリさん» コメントありがとうございます。すごく嬉しいです!そうですね、少し落ち着いてからまた更新したいなと思います、がんばります(*^^*) (2017年3月4日 19時) (レス) id: 617a50f5a2 (このIDを非表示/違反報告)
ココロリ - 急にパクリなんて言われて辛いですよね…このお話し大好きなので更新頑張ってください!応援してます! (2017年3月4日 18時) (レス) id: e4dc354880 (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - 夏夢さん» 夏夢さん、いつもコメント本当にありがとうございます。そうですか…こんな事態初めてなので、どう対処して良いか分からなくて…混乱して書けなくなった情けない状況です…。ですが、待っていて下さる方がいると分かり、もう少し前向きに整理していこうと思います! (2017年3月2日 22時) (レス) id: 617a50f5a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りりた | 作成日時:2017年2月18日 14時