終わりから始まる恋。(ym→in,yt←in)

＊ ページ31

「俺は誰とも付き合ってないよ」
「あっ、そ、そーなんだ！」


見るからに、嬉しそうな顔をした。
ほら、やっぱり。
嫉妬じゃん。


「ゆうてぃー、なんでこの話を俺にしたの？」
「あ、その……その人とやまが付き合ってんのかと思ったから、確認？したくて……」
「その人って、誰だか聞いてもいい？」


まどろっこしくて、名前を聞き出す。
どうせ伊野尾ちゃんのことって分かってるし。


「……言わないでくれる？」
「うん、言わない」
「…………メンバーなんだけど…………」
「メンバー？」
「うん…………」
「…………伊野尾ちゃんの、こと？」


スッと言わないから、俺から名前を出した。
そしたら、驚いた顔のゆうてぃー。


「最近、ぎこちない感じだったから。
もしかして、そうかなって思ったんだ。
俺と伊野尾ちゃん、ご飯よく行くようになったもんね」
「……やまは、やっぱりよく見てるよね」


そう言って笑うゆうてぃーの表情は、なんだか浮かない感じ。


「伊野尾ちゃん、落ち込んでるみたいだったからさ。
励まそうと思ってご飯一緒に行ってたの」
「……落ち込んで、たよね。
俺のせいで……」
「伊野尾ちゃんからは、相手のことそんなに聞いてないよ。
ただ、すごく好きだっていうのは、分かった」


そう言ったら、ゆうてぃーの表情が歪んだ。
なんでだか、俺には見当がついてる。
本人、自覚は無いんだな。


なぁ、ゆうてぃー。
気付いてないんでしょ。


「今日、撮影の時、伊野ちゃんが普通に見えたのは、やまが励ましたお陰なんだね」
「どうなんだろ。
そうだと、嬉しいんだけどね」
「……伊野ちゃんとさ、今日、やっと和解したんだよ俺」


和解？
……そういえば、今日の伊野ちゃんは。
撮影が終わって楽屋に戻ったとき、なんだか清々しいような表情だった、気がする。


「普通に撮影をするって、なって。
それで、そこで見た、伊野ちゃんがさ……。
すごく……綺麗だったんだ……」


……知ってる。


「それに、態度とか。
伊野ちゃんって、時々すごい年下みたいにはしゃいでたりするよね。
それが、なんか今更だけど、可愛く見えちゃってさ」


それも……知ってる。


だって、俺もそうだった。
最初のきっかけは、伊野尾ちゃんの、泣いている表情だけどさ。
今ではもう、どうしようもないくらい。


可愛くて、綺麗で。
それで、すごく傷つきやすい。


そんな彼を愛しているんだ。

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