その理由は。(ymin) ページ1
[設定]
山田涼介:高1、学園の王子様
伊野尾慧:高3、黒髪時代メガネ
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どんっ。
バサバサッ……
痛っ……!
誰かとぶつかったと思えば、目の前で尻餅をついた男子生徒がいた。
黒髪でメガネをかけた、いかにもオタクみたいなそいつは、ぶつかった拍子に持っていたであろうノートまでもぶちまけている。
「大丈夫ですか?すみません」
「ほぁ?……あ、いえ……ごめんなさい」
差し出した手は掴まれず、懸命に散らばったノートを集めてる。
「あ、伊野尾じゃん」
「いつもなんかふわふわしてどんくさいんだよね」
「山田くん、次の授業始まっちゃうよー行こ?」
絡みついてくる複数の女子生徒。
どうやら俺は、自分でいうのも嫌だけどこの学園でかなりカッコいい部類に入るらしく、こうして女子生徒の取り巻きが、不本意だけどいたりする。
すごくうんざりしてるけど、女性には優しくしないとって散々言われて育ったから冷たくは出来ない。
でも、ここは男として筋を通すべきところだ。
「俺がぶつかったのが悪いから。
皆は先に行って?」
そう言ってニッコリ微笑めば、顔を赤らめて皆去っていく。
これでよし。
ノートを拾うのを手伝ってあげれば、小さくありがとう、という声。
「いえ、こちらこそすみません。
良ければ俺運ぶの手伝いますよ、えーと、伊野尾先輩、でいいんですかね」
「え……名前……」
「さっき一緒にいた3年の先輩がそう言ってたから。
違った?」
「いや……合ってる、けど……。
あの、大丈夫だから、気にしないで、山田くん……」
伊野尾先輩は、拾ってあげたノートを全部抱え込んでしまった。
そのまま去ろうとしたけれど、俺の名前を知ってることが引っ掛かって、呼び止めて理由を尋ねる。
「何でって、有名だよ?
山田涼介くんでしょ。
入学してすぐにこの学園の1番人気になった、王子様だよね」
「え、何それ」
意味分かんないけど、そういうことらしい。
結局、伊野尾先輩はノートを1人で持って行ってしまった。
何か引っかかる人だったなぁ。
もう少し話がしたかった。
休み時間はまた女子生徒に捕まってしまったが、ついでに伊野尾先輩のクラスを聞き出し、放課後会いに行くことに決めた。
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作者名:りりた | 作成日時:2017年2月18日 13時