ティラミス(cnin.INside) ページ6
※『チョコバナナ』の伊野尾視点です。
ーーーーーーーーー
「チョコバナナ食べたぁい」
「何急にどしたの知念」
びっくりしちゃった。
だっていきなりそんなこと言うんだもん。
チョコバナナなんて、そんなのすぐ買ってこれないでしょ。
いきなり言い出した理由を聞いても、返事が返ってこないから、名前を呼んでみる。
「ちーねーんー？」
「んふふ、僕も今急に思ったの。
今日ほら、バレンタインでしょ？」
「うん？」
「だからね、いのちゃんがチョコだったら、何だろ、って思って！」
バレンタインのお家デート、恋人の知念と２人きり。
しばらくテレビとか観てイチャイチャしてたら、急によ(笑)
「そうなの？
おれチョコバナナなんだ？」
「うん、甘いやつ！」
それってチョコなの？
チョコ系のお菓子だよねぇ。
俺はチョコバナナなのか。
知念はなんだろ？
んー……あ！
「じゃあ知念はティラミスでどお？」
「ティラミス？？」
「可愛い感じするでしょ？」
ぴったりじゃない？
おいしいし。
でも知念は無反応。
「あれ、知念？」
ダメだった？
別のがいい？
可愛い系のお菓子ってあと何？
全然思いつかないんだけど。
「いのちゃん」
「ふぁ……ん！ッ……んぅ、ん……」
急に名前を呼ばれ、知念の方を向いたら、深い深いキスを仕掛けられた。
突然すぎて、息できないよ。
あと、心臓うるさいし。
あ、やばい力入んない……。
支えがほしくて、緩く知念の服を握って、激しいキスに耐える。
「ん、はぅ……」
「僕は可愛いだけじゃないんだからね？
いのちゃんなんて、全部食べ尽くしてあげる」
「ッ……！」
ちゅ、軽くキスされて、そんなこと囁かれたら真っ赤にならないわけがない。
ああもう、可愛いだけじゃないって、知ってるのに。
ティラミスだって、ちょっと苦めの大人の味が隠れてるでしょ。
やっぱぴったりのお菓子だよね。
こんな時、いつでも知念はカッコよくて、ちょっとだけ意地悪で色っぽくて、おれはいっつも翻弄される。
ああほら、もうだめ、何も考えらんない。
知念に気持ちよくされちゃって。
もう、知念のことしか見えなくて。
ほろ苦な大人の味に、
おれは溺れることにした。
END.
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作者名：りりた
| 作成日時：2017年2月14日 4時
