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＊ ページ32
囁かれた甘いセリフ。
普段は恥ずかしくて返せないけど、今はすごく言いたいの。
頑張って返したら、ちょっとだけ身体を離して、目元とか頬とか、たくさんキスを落としてくれた。
もちろん、唇にも。
「ん、ん……ぁ、ふ……んぅ」
「伊野ちゃん……」
一生懸命応えるけど、裕翔の方が上手くてついてくのがやっと。
あ、どうしよ。
このままじゃ、身体が熱くなっちゃう。
止まれなくなる。
それがムリなのは、お互いに分かってるから。
でも離れたくない。
だから、時間いっぱいまで、キスを繰り返して。
「……伊野ちゃん、元気出た？」
「うん、ちょっと」
「収録、がんばろ。
終わったら、伊野ちゃん家でもっとイチャイチャしよ」
「え……でも、明日早いんじゃ……」
「そんなの平気。
伊野ちゃんと過ごす時間が俺も欲しいから」
俺のために言ってくれてる。
わがままでごめんね。
ちょっとだけ泣きそう、でも、わがままだけど、一緒にいたくて大きく頷いた。
名残惜しかったけど、時間がギリギリだから、またあとでね、と言われて。
俺は楽屋を出た。
戻る前、廊下でつい唇に触れてしまった。
裕翔とのキスはすごく甘い。
チョコレートなんて比じゃないくらい。
ねぇ、さっき思い出したの。
今日がバレンタインだって。
こんな特別な日に裕翔と過ごせるなんて嬉しすぎて。
普段言えない愛の言葉を、一生懸命伝えようと決めた。
END.
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作者名：りりた
| 作成日時：2017年2月14日 4時
