ただ、君だけ。〈１〉(ymin)

3.誰……？ ページ9

山田が家に送ってくれたあの日から、１週間経った。
相変わらず見られてるような感覚は無くならないばかりか、だんだんと多くなってきている。
白い封筒はもう100通を超えた。
あの日、カバンの中にまで入っていた封筒。
考えるだけで吐き気がするし、食欲は失ったままで。
食べようとしても、身体が食事を受け付けてくれなくて、軽い拒食症のようになっている。
こんなこと、メンバーに知れたら余計な心配かけるだけ。


「伊野尾ちゃん……」
「あ、やまだ、おはよう」
「あの……最近さー……」
「ごめん、ちょっと疲れてて、仮眠とらせて貰っていい？」
「……そっか。ごめんね」


全員が集まる楽屋でも、あまり皆のところに行かないようになった。
いつ気付かれるか分からない、そんな思いばかりが支配してる。
ごめん山田、せっかく声かけてくれたのに。
他のメンバーも山田とのやり取りを見ていたからか、話しかけては来なくなった。
これでいいんだよね……。
所謂ストーカーの被害に遭ってる今、あまり睡眠を取れていないのも事実で。
皆がいるこの時間だけが、俺にとっての幸せな睡眠時間になっている。


「間もなく収録始めまーす」
「はーい！」
「ちゃーん！行くぞー！」


大ちゃんが起こしてくれた。
こんなに態度悪いのに、申し訳なくて、泣きそうになっちゃうよ。


「ありがとね、大ちゃん」
「おーう！」


ありがとね、変わらず接してくれて。
大好きだから。
俺が、自分で解決するからね。

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