検索窓
今日:3 hit、昨日:32 hit、合計:445,548 hit

ページ29

「やまだ、どこ行くの……?」
「メイク室。
メイクさんに、話さなきゃいけないことあるから」
「え……?」


話さなきゃいけないこと?
何のことだろう。
考えながら歩いてると、メイク室に辿り着いた。
ノックして中に入れば、専属の女性メイクさんがいた。


「どうかしました?もうメイク始めます?」
「伊野尾ちゃん、ちょっとごめんね」


そう言うと山田が、俺が着ていた長袖のニットの腕をまくった。
そこでハッと気付く。


「やっ……」
「え、どうしたんですかそれ」
「……収録で、伊野尾ちゃんの腕を思い切り掴んじゃって。
もう消えると思うんですけど、今日は雑誌撮影だから、一応隠しメイクしてもらえたらと思って。
すみません俺のせいで」


ぺこり、と山田が頭を下げた。
嘘、ついた。
俺のために。
アイツにつけられた腕のアザが、まだ残ってる。
それを隠すために。
メイクさんは信じてくれて、顔のメイクとは別に腕にドーランを塗って自然に隠してくれた。


「このこと内緒にしてもらっていいですか?
伊野尾ちゃんにアザなんて、周りに知られたら怒られちゃうんで」
「分かりました」


冗談混じりに言うことで、より信じてもらいやすくなる。
また、山田に助けられちゃった。
メイクが終わって楽屋に戻るとき、何も言わない山田に声をかけようとする。


「やまだ、あの、」
「強引に連れ出してごめんね。
アザのこと、皆の前で言うのもどうかなと思ったから」
「あ……うん、そうだね……」
「よかった、見えないようにしてもらえて。
早く消えるといいね」


そう言って山田が笑ってくれた。
年下の癖に、なんでこうも頼りになっちゃうのかな。
俺はこんなにダメダメなのに。

*→←7.もう、信じられない



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (276 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
736人がお気に入り
設定タグ:やまいの , ymin , 伊野尾慧
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りりた(プロフ) - ☆しんちあけい☆さん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです(о´∀`о)もう一度だなんてすごく光栄です!完結しましたが番外編を短いですが書こうかなと考えてますので、また覗いてやってください! (2017年3月2日 21時) (レス) id: 617a50f5a2 (このIDを非表示/違反報告)
☆しんちあけい☆(プロフ) - …一気に全部読みました。すごく面白かったです!自担が危ない目に遭っちゃう系大好物なんで笑…ちょっと、もっかい読み直してきます笑 (2017年3月2日 21時) (レス) id: e93827b7b3 (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - JUMP大好きな白米と猫さん» コメントありがとうございます!山ちゃんは傷ついた伊野尾ちゃんにはとことん優しくを目指してます(笑)亀更新ですがこれからも楽しんで頂けたら幸いです(*^^*) (2017年1月9日 5時) (レス) id: e887fbde8e (このIDを非表示/違反報告)
JUMP大好きな白米と猫(プロフ) - 山ちゃんマジ優しい!!感動…!(´;ω;`)伊野ちゃんを助けてあげて! 続き待ってます(*'▽') (2017年1月9日 0時) (レス) id: f122806c5b (このIDを非表示/違反報告)
りりた(プロフ) - ほのさん» コメントありがとうございます!はい、頑張ります(*^^*) (2017年1月3日 13時) (レス) id: e887fbde8e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りりた | 作成日時:2016年12月6日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。