本能(ymin)

＊ ページ36

やまだが、笑った。
余裕が無さそうな、オスの表情。
おれの太腿の内側をするりと撫でてくる、その手つきがすごい、いやらしくて。
あ、ヤバい、このままじゃ……。


「んっ、ぁ……やっ、」
「なんで？誘ってくれてるんでしょ……？」
「そ、だけど……」


今日は、違うの。
やまだに全部任せるんじゃなくて。
おれが、主導権握るって決めたんだから。


「きょ、今日は……おれが、する」
「え？」
「いつも、おれやまだに流されちゃうんだもん……。
だから、今日は、おれが、全部する……」


だから、熱く、なって？
いつもおれが感じてるみたいに、どうしようもなくやまだが欲しくなっちゃうみたいに、やまだも、おれのこと欲しいって思って？


そう告げれば、やまだが、おれの太腿にやってた手を、おれの後頭部に回して引き寄せて。
咬みつくくらいのキスをした。
舌が絡み合い、飲みきれない唾液が口の端から零れ落ちる。


「ふぅ、んッ、んんぅ、っ！」
「っ、は……わかった。
伊野尾ちゃんに、任せる……。
って言っても、もう熱くて堪んねぇけど。
伊野尾ちゃん、何とかしてくれんだよね？」
「ひ、ぅッ、」


少しだけ、やまだが腰を上げたら、硬いものがダイレクトに触れた。
わざと、擦りつけたんだコイツ。
さっきのキスのせいで涙目になってしまったけど、キッと睨みつけてやる。
よく見ると、やまだの瞳の色が、文字通り変わり始めてる。


このままだと、何もできなくなっちゃう。
だから、やまだに見せつけるように、ワンピの裾を少し引き上げて。


「分かった、って言ったんだから……。
やまだ、触っちゃ、ダメなんだからね……？」


ゴクリと生唾を飲む音。
ギラつくやまだの瞳が、ちょっと怖いけど。
でも、これでたぶん、おれが主導権握れたよね。
だってほら、悔しそうな顔したもん。


ほんの少し優越感。
よし、いい感じ。
この間知念に言ったみたいに、このまま、寸前でお預け、してやるんだからな。


決意を新たにして、おれはやまだを翻弄してやることに集中した。

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