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全ての動きが停止し、伊野尾ちゃんを凝視した。
伊野尾ちゃん、泣いてる……？
なんで？
わけも分からずただ困惑した。
伊野尾ちゃんは、ひと言謝ると、ぐい、と腕で目を雑に拭う。
次の瞬間、ガタンッと勢いよく楽屋を飛び出そうとした。
「ちょ、待って！」
「ッ、離して、離せってば……！！」
走り去ろうとする伊野尾ちゃんの腕を掴めたことに自分でも驚く。
慌てて俺の手から逃れようとする伊野尾ちゃん。
だけど、ここで離してしまえば恐らく、理由を尋ねる機会を失う。
「なぁ伊野尾ちゃん、最近変だよ。
どうしたの？
何かあったの？」
「……何でも、ない」
「はぁ？何でもないわけないじゃん」
「本当に何でもないことだから、」
「何でもないのに伊野尾ちゃんが泣く？
そんなわけないよね」
「……これは、……そういうんじゃ、なくて、」
「じゃあ何？
どうして泣いてんだよ」
「……何かあったとしても、やまだに言う必要ない」
「んだよそれ！？」
「これはおれの問題だから！！
おれが、自分で何とかしなきゃいけないことなんだよ！！
だから……やまだには関係ない」
最初は冷静に話したかったけれど。
話そうとしてくれない伊野尾ちゃんに、徐々に熱くなってしまって、口調が荒くなった。
「関係ないってなんだよ！？
んなわけないじゃん！！
目の前でメンバーが苦しんでるって分かってて放っておけるわけないだろ！！」
「で、でも……、」
「……１人で抱えないでよ……！！
助けて欲しいことがあるなら、助けてって言っていいんだ……。
言いたくないかもしれないけど、でも、知りたいんだ。
それで、俺に出来ることがあるなら、何でもする。
俺は伊野尾ちゃんの味方だよ」
「ッ、ぁ、……っ！」
伊野尾ちゃんの肩を強く掴んで訴えれば、伊野尾ちゃんの瞳からは必死に拭おうとしていた涙が溢れた。
嗚咽を堪えるように、手で自分の口元を覆い隠す。
我慢、しなくていいのに。
ぽすん。
その想いをこめて、掴んでいた肩を、今度は優しく引き寄せた。
伊野尾ちゃんの顔が、俺の肩に埋まる。
「う……っく、ぐず、っ、うあぁぁぁ……！」
初めて、聞いた。
伊野尾ちゃんが、声を上げて泣くところを。
なんて悲痛な叫びなんだろう。
伊野尾ちゃんの両腕が、俺に縋り付くように背中に回されて。
俺は、伊野尾ちゃんが落ち着くまで、そのままずっと、力いっぱい抱きしめ続けた。
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りりた(プロフ) - shootingstarhapさん» ずっと応援していただきありがとうございました。コメントがとても励みになっておりました。長いこと更新を停めてしまうこともあったにもかかわらず、本当に嬉しかったです。少しでも、楽しんで頂けたなら幸いです。本当にありがとうございました！ (2020年6月16日 18時) (
レス) id: bd2ed28c98 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 更新心待ちにしていました…！嬉しいです！今回もボロボロに泣いてしまいました…伊野尾さん、食べれて良かったです…。本当に良かったです。素敵なお話しありがとうございます！ (2020年6月16日 18時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - 更新楽しみに待っていました！皆の所に元気に戻ってきてくれて本当嬉しいです！りりたさんのお話しまた楽しみに待っています！ (2019年11月11日 16時) (レス) id: 29c1b2b83b (このIDを非表示/違反報告)
うさこ(プロフ) - やっと思いが通じ合って嬉しいです。大好きな作品です。切なくてもどかしくてどうなるのかと思ってましたけど嬉しい展開でまた好きになりました。いつもありがとうございます。 (2019年6月30日 23時) (レス) id: 1d86e2ca18 (このIDを非表示/違反報告)
shootingstarhap(プロフ) - りりたさんの更新待ってました！お忙しい中ありがとうございます！(^-^)本当良かったって最新のお話し見て物語に入り込みすぎてて泣いてしまいました…。りりたさんのお話しは本当素敵でよく泣いてしまいます。またお話し楽しみに待っています(^-^) (2019年6月30日 16時) (レス) id: 841a63da71 (このIDを非表示/違反報告)
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