THE SECRET NIGHT(cmgk=ymin)

＊ ページ20

俺のため？とか甘いこと考えてる場合じゃなかったわ。
そんなことより伊野尾ちゃんに抱きついたこと、謝らないと。


そう思ったんだけど、あまりにも俺が慌てた顔してたのだろうか。
伊野尾ちゃんは、何事も無かったかのように笑っていた。
そして立ち上がると、ドアに手をかけ出て行こうとして。
ふと、俺の方を振り返った。


「ふふ、もう朝ごはん食べてるから、早く着替えておいでね？
やーまーちゃん？」


可愛らしくウインクを１つ残して、伊野尾ちゃんは部屋を出ていった。


呆然としたのは俺。
山ちゃんって呼ばれた。
そう言えば夢の中で、山ちゃんって呼んでよって言っちゃったけどあれも夢じゃなかったってことかよ……。
最悪だ……ウインクにきゅんとしてんじゃない俺……。


急いで着替えてダイニングに行けば、全員が揃っていて、朝飯を食べ終わりかけていた。


「遅いぞ山田！」
「ごめんヒカ！
代わりに作ってくれたって？」
「そうだよ俺の当番明後日なのに！」
「ホントにごめん、明後日俺やるから！」


やっぱヒカに怒られた。
まったくもー、とぶつぶつ言いながらも、俺の分を用意してくれるヒカ。
優しいヤツだなぁ。


「おはよ、山ちゃん。
山ちゃんが寝坊なんて、珍しいね。
朝は弱いけど、ちゃんといつも起きてくるのに」
「圭人おはよ……うん、まぁちょっとな……」
「け、ケガが痛くてなかなか寝れなかったとか……？」


酒を飲んだとは言えなくて圭人の問いははぐらかそうとしたのに、大ちゃんがまた暗い顔でケガのことを言ってくる。
違うよ、と否定してもまた謝ろうとするもんだから、どうしたものか。

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