90 制御不能 ページ40
ふぅ、
やっと仕事に集中できる。
先ずは、
誰も居なくなった半個室の中で、
勝利宣言の代わりにうーーんと背伸びして…。
ん?
今まで気にも留めていなかったが、
目線の先に、テーブルに置かれたまんまのしわくちゃ紙ナプキン。
あれ?
なんか書いてあるっぽい。
手に取り広げてみると、
落書きっぽく、ゆるーく描かれた四コマ漫画。
これ、ユギョムくんが描いたんだよね?
ってか、いつの間に(笑)?
1コマ目。
怒り狂ってる女の子のイラスト。
目はつり上がり、ご丁寧に鬼の様なツノまで生えている。
吹き出しには、「あんたなんか大、大、大キラーイ!」
ははーん。
この鬼は私ってこと、か(笑)。
2コマ目。
まるで天使の様な翼を広げた美少年のイラスト。
吹き出しには「ムキムキ怒ってばっかじゃ、幸せになんかなれないよ?」
美少年=ユギョムくん?
もー、美化し過ぎだってば(笑)。
3コマ目。
不安そうに見つめる女の子のツノを、さっきの美少年が笑顔でポキッと折っているイラスト。
吹き出しには「これで、よしっ、と(笑)。」
なにが、
『これで、よしっ、』なんだ?
そして最後の4コマ目。
微笑みなから手を繋ぐ二人のイラスト。
吹き出しには「やっと ______ 」
『やっと』の後が何もないまま、強制的にカッコで閉じられている。
一番大事なとこが書いてないなんて、ホント全くあり得ない。
なんで?
なんで書いてないワケ?
徐々に、
この中途半端な四コマ漫画にイライラし始める私。
そうだ!
さっき、ユギョムくんとはLINEで繋がった事だし、
結末が気になって仕事が手につかないって今すぐ確認すればいいだけじゃん?
だけど…。
仕事に集中出来ないからと、ユギョムくんをここから追い出したのに、
これじゃまた振り出しに戻るだけ。
そう思い直して、
手に取ったスマホを仕方なくテーブルの上に置く。
こんなことしてる場合じゃない。
早く、ホームページ作んなきゃでしょ?
でも…。
集中しなきゃと、どれだけ自分に言い聞かせても、
頭の中はちっちゃなユギョムくんがいっぱいでなんともなんない。
今までとは明らかに違うおかしな感情。
そしてまた今も…。
気付けば、
昨日今日のユギョムくんの言動一つ一つを思い返して、いつの間にか感慨にふけるという制御不能な私が居る。
まさか、
いや、そんなワケない。
41人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:じぇびにゃん(*´ω`*) | 作成日時:2019年11月25日 20時