あつあつのフォンダン・ショコラをあなたと 1

17　あの子をよろしく ページ17

ヨナ side




ちょうど一年位前？


看護婦を辞めたと事後報告をした時ぶりの母から、

さっき突然、着信があった。




どうしたんだろ？

嫌な予感がする。



僅かな休憩時間を利用して、

慌てて母に電話をする。




ヨナ「あ、もしもし？

お母さんどうかした？」


母「うん…。

ごめん、先に謝っとく。」




えっ？なになに？

いつもとは違う、沈んだような低い声。




母「Aとケンカしちゃったの。」


ヨナ「なんだ、そんなこと(笑)。

びっくりしちゃった、いつもの事でしょ？」


母「ううん、いつものとは違う。

あの子、大きなスーツケースを抱えて、ホントに家を出て行っちゃったのよ。」


ヨナ「は？どこへ？」


母「あなたのとこ。

アパートの住所は知らないから、取り敢えずカフェに行ってみるって。

もうそろそろそっちに着く頃かな？」


ヨナ「は？意味分かんない、なんでそんな事になるわけ？」


母「あなた、テレビのカフェ特番に出たでしょ？

今日偶然それを観てて、なんで看護婦じゃなくカフェ店員やってんだって言い始めて。」


ヨナ「あぁ(笑)。」


母「だから思わず言っちゃったの。

勝手に会社を辞めてきたあなたにお姉ちゃんを批判する資格ないって。」


ヨナ「えっ？会社辞めた？」


母「そう、ったく呆れるでしょ？」


ヨナ「何が原因？

理由もないのに、あの子が辞めてくるわけないじゃん？」


母「それがね、パワハラ、セクハラが酷くて、女性が働ける職場じゃなかったって。」


ヨナ「そう。なら、仕方ない。」


母「は？仕方なくないでしょ？

今、世の中はすっごく不景気なの、少し位我慢しなきゃ。」


ヨナ「それ、あの人が言ったの？」


母「いい加減、あの人って言うの辞めなさい。

そうよ、お父さんがそう言ったの。

それで少し前に衝突しちゃって。」


ヨナ「で、今日のお母さんとのケンカで一気に爆発して家出したのか。

ハァ、もう最悪。」


母「だからお願い。

悪いけど、暫くAをそっちに置いてあげて。」


ヨナ「は？そ、そんな事、急に言われても困るよ。」


母「ね、ね、お願い、あなただけが頼りなの。

じゃAをヨロシク、任せたからね。」


ヨナ「おーい？もしもーし？」





ハァ。



一方的に、

切られてしまった。

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