優しい人皆が皆、耐えられると思わないでください【ハイキュー】【青葉城西高校】

優しい人27 ページ28

花穏「京治せんぱぁい、もう練習始まりますよ？」


『花穏ちゃん……』


どうしてわざわざ私がいるこの部屋に？けーじくんを呼ぶのなら他のマネージャーさんでもいいはず。


それに、とても甘い声。男の人を誘惑するような声。

前からこんな声だっけ？私が気付いてなかったのかな。それとも私の勘違い？


ダメダメ。最近、すぐに悪い方に考えちゃう。



花穏「ひっ……」


花穏ちゃんは私の声に、姿に反応してわざとらしく震える。じゃあ、どうしてわざわざ此処に来たの？

どうして私を追い出そうとするの？私を嫌われ者にしようとするの？


貴方の考えが、分からないよ。



赤葦「取り敢えず、行かないと。

A、また後でね」


『きっと、木兎さんの練習に付き合わされちゃいますよ。だから無理しないで。

ちゃんと休んでください』


赤葦「………わかった」


え、間長くない？本当に分かったのかな。



花穏「……それじゃあ、行きましょ！」


そう言って花穏ちゃんはけーじくんの腕に抱きつきながら去っていった。

行きましょって言う前の顔、凄く怖かった。ふざけるな、そう言われてるみたいで。


いつも表情が豊かな分、殆ど無に近いあの表情は私を怯えさせるには充分だった。



ねぇ、花穏ちゃん。一体私が何をしたと言うんですか？








そうやって午後もバレーの音をBGMに暇に過ごして一日が終わった。


もう寝る時間という時に五分くらいけーじくんが部屋に来てくれた。

無理してこなくてもいいのにって言ったら


赤葦「意地でも来る。Aが心配だから」


だって。別に私は平気なのに。逆にけーじくんの体調が心配だよ。

花穏ちゃんに少し振り回されてたみたいだから。



うん、私は平気。辛くなんかない。

私が居ない事で皆が幸せなんだから。皆の為なんだから。


だから、これが本望でしょ？




何故かこの日、私は眠れなかった。

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