優しい人皆が皆、耐えられると思わないでください【ハイキュー】【青葉城西高校】

優しい人20 ページ21

『姫花は何も悪くないよ。だから、そんな顔しないで』


姫花「っ……でも」
及川「Aちゃん！」


姫花の言葉と徹先輩の私を呼ぶ声が被って、この話は一旦お預けとなった。

凄く息が上がってる。走ってきてくれたのかな。


ダメだよ、もしそれで体調に影響が出たら。それに、転けて足を痛めてしまったら大変だ。

私なんかの為にそんな事にならなくていいのに。



『ダメですよ、徹先輩。そんなに急いじゃ。もし怪我でもしたらどうするんですか』


私がそう言うと、徹先輩もさっきの姫花みたいに苦しそうに顔を歪めた。

あれ、私が何かを手伝ったり心配したりする方が貴方達を傷つけてしまうの？


それなら、私はどうしたらいいの？




その後、各校の主将(梟谷は副主将付き)が集まった。姫花と花那は外に出された。


最初は、何だか気まずそうに全員黙り込んでいた。


でも音駒の主将、黒尾先輩が口を開いた。

その人から開口一番に告げられたこと、それは


黒尾「この合宿から、抜けてくれないか」


だった。正直、嫌だった。まだまだ皆のサポートがしたいし、もう少し皆と仲良くなりたいから。

でも、私のせいで皆がギスギスするのは嫌だ。


私はどうすればいいのか分からなくなった。



及川「だから、俺は反対だって言ってんじゃん」


私が答えられずにいると、徹先輩が低くて、相手を威嚇するような声でそう言った。

その一言から始まる討論。


花穏は、ずっと怖い思いをしてたんだ。

ずっと仕事を押し付けられても、私が耐えればいいからって頑張ってたんだ。

Aが仕事をしてなかったって証拠はあるの？

勝手に決めつけるのは良くないですよ。

でも、花穏は毎日泣いてたぞ？

どっちが正しいのか分からなくなってきた。



そんな感じの事をずっと言い合っている。


私のせいで、こうなってしまったというのなら。

私がここから去れば、もうこうならないというのなら。






私は、喜んでここから去りましょう。



『私、抜けます。この合宿』


及川「A！？何言って」


『私がいる事で皆さんが揉めるのなら、私は喜んでここを去ります』



私は、この合宿を抜ける事に決めた。







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それはもう、寒くて苦しい、ある合宿の5日目の事だった。

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