第三十九の花「藤と気付き」 ページ40
善逸side
「俺は、もう正しい道を歩けない!こうするしかないんだ!」
依頼主の息子さんがそう言ってからは、不死川兄弟から聞こえてくる音が変わった。
それは怒り、憎しみ、そして哀れみの音。
この2人にはここにくるまでに何があったんだろう。そんな事を考えさせるような音だった。
玄弥「お前にとっての正しい道ってなんだよ。良い企業で働く事か?人助けをする事か?
なぁ、答えろよ」
「っ……俺はひねくれた人間なんだ。真っ当に生きるなんてごめんだよ。きっと物心ついた時には道を踏み外してたんだよ。仕方ないんだ。
だから、これ以上悪い事をしようが何も失くさないんだ!」
実弥「巫山戯んじゃねェ!」
兄の方が息子さんの胸ぐらを掴んだ。あれ、相当強く掴んでない?痛くないのかな。
実弥「正しい道なんて元からある訳じゃねぇんだよォ。他の奴ら全員自分で手探りで見つけ出してんだ!
その努力もしないで仕方ないで終わらせんじゃねェ!」
玄弥「迷うくらいならこんな事するな!
全部諦めて逃げた先のせいにして、家族にも心配かけて。
これ以上、醜い事はすんな!!」
実弥「まだ誰の命を奪ってないてめぇなら戻れるんだよォ。引き返せんだよ。
また、正しい道を見つけようと努力出来んだよォ!何も失わなくなる恐怖も、虚無感も、苦しみも知らねぇ癖に語んじゃねェ!
だから!」
玄,実「自分に出来る事を探そうとしろ!」
「!!……っ……」
自分に出来る事を探そうとしろ。それは、一見普通の言葉。だけどこの2人が言うと何か別の、特別な言葉なんじゃないかって勘違いしそうになる。
言ってた事全部に説得力があった。
多分、反対していた11人全員で思っただろう
____この2人は何も隠してなんていなかったんだ
善逸side終了
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作者名:ろあ | 作成日時:2020年3月10日 6時