Conclusion ページ2
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十分ほどして、二人は路地裏から抜け出していた。
裏社会で生きてきた勘が作用したのだろうか。
一度も迷うことなく、普遍的な通りに出てきたのである。
「うわあ、何処だろうね」
「高層ビルばかりだ」
周囲にはガラス張りの青い塔が立ち並んでいた。
昼間でも相当な人数が通行するが、誰も二人を気にする様子がない。
茶色い木の葉が風に吹かれて、カラカラと転がっていた。
「取り敢えず歩いてみようか」
二人は揃って歩き出す。
すぐに雑踏にのまれ、溶け込んでいった。
それから少し歩いたところで、二人は屋台を見つけた。
丁度二人が出てきた通りはビル群の端のようで、一寸歩けばすぐに建物は低くなった。
それに伴うように、ぽつんと屋台があったのである。
二人は立ち止まり、道路の隅によって会話をしている振りをする。
暫くして、誰かが屋台で物を買っていった。
それを見て二人は自然な会話をし、先に進んだ。
先程二人が見ていたのは、支払う時に使われた現金である。
どこか別の国であれば、違う通貨かもしれないと考えた為である。
そして結果は……
「どうやら、通貨は同じようだね」
つまり、ここは日本なのである。
それを再認識し、二人は散策を続けることにした。
次に二人はホームセンターらしき店に入ると、地図を購入した。
屋台の傍で立ち止まった時、会話をしながら彼らはスマートフォンで現在地を確認しようとしていた。
だが、それは出来なかったのである。
“圏外”
それが小さな四角い機械が導き出した、たった一つの答えだったのだ。
という訳で、二人は地図を買う羽目になったのである。
知らない場所で無闇に彷徨くことほど危険なことはないということだ。
そして、二人は地図を見て既視感と違和感を感じた。
「此処、東京のようだけど」
「でも、区の名前が大分違うようだね」
渋谷区、世田谷区……というのが、二人の知る東京だが、この地図には1区、2区……記されている。
二人は漸く一つの考えを口にする。
そう、正解にたどり着いたのだ。
「「どうやら此処は、異世界というやつのようだね」」
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杏 - また、更新してもらえてうれしいです!頑張ってください!! (2020年1月4日 1時) (レス) id: 18b5c09236 (このIDを非表示/違反報告)
鶴来 アリス(プロフ) - 私も良いと思って見切り発車で小説を書くと後々猛烈に書き直したくなることがよく有ります笑 こちらでも、応援しております!頑張ってください!!待ってますー!! (2020年1月3日 2時) (レス) id: aa3614dbb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白冬ーShiroー | 作成日時:2020年1月1日 16時