第214話 ページ49
「ごめんキッド」
私は一言そう告げて応急処置を始める。
熱もあるので額を冷やして出来るだけリラックス出来るよう心がける。
結局目を離したすきに容態が変わっても怖いので、彼が目覚めるまで付き添うことに決めてため息をつく。
(人間やろうと思えばなんだって出来んのね)
時計の指す4時が眩しい。
私は彼の額に当てた布を取り替えて、ローテーブルに積まれた本から一冊選んで読み始めた。
「…ん……」
掠れ声が空気を震わせる。私は本をテーブルに置いてキッドの額の上に置かれた布を取り除いた。
「おはよう、快斗くん。体調はどう?何かお腹に入れる?」
キッチンへ向かい、目をパチパチさせている彼にコップ一杯の水を差し出す。
「え、な…え?」
「あれ?覚えてない?昨日君この家のベランダに倒れてたんだよ。銃弾が掠ってたみたいで」
キッドはハッとした顔をして自分の体を確認し、水を飲み干して頭を下げる。
「ありがとう、本当に。助かった…りました」
「……?あぁ、敬語は良いよ。今は同い年な訳だし」
「…わかった」
どこか気まずそうな顔をするので私から話題を振ってみる。
「昨日もキッドの仕事?」
仕事という聴き方が慣れなかったのか彼は一瞬目をパチクリさせてそれからコクリと頷いた。
「同じ宝石を狙ってたどうにもきな臭い奴らが罠張ってて、そういやこの辺お姉さんが住んでたよなぁって思い出したんだよ」
「…私の家はもう調査済みって訳ね」
やれやれと肩をすくめたらキッドは悪戯がバレたような顔をして舌をチロリと出す。
「でもそのきな臭い奴らについては見過ごせないね、…銃も持ってるみたいだし。特徴教えてもらっても グゥキュルルルルルル…………後ででいいか、今何か食べれる物用意するね」
私の言葉にかぶせて彼のお腹が鳴り、顔を真っ赤にして俯いてしまったキッドに思わず笑ってしまった。
私はキッチンから食パンと冷凍されたご飯パックを掲げる。
「天下の大泥棒様はパンとご飯どっち派?」
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黒木(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます、一気読み!?嬉しいです、今後とも本作をよろしくお願いします! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - りーさん» ありがとうございます、嬉しいです。更新致しました、読んでいただけたら幸いです、 (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - リオさん» こちらこそコメントありがとうございます!正解です!!キャラが関わるほどではなかったのでクロスオーバーのタグ等はないのですが、誰か気がつかないかな〜なんて思って書いたんです。ありがとうございます! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - もってり子さん» ありがとうございます。嬉しいです、更新致しました、楽しんでいただけたら幸いです! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - 液体さん» コメントありがとうございます!更新致しました、読んでいただけたら幸いです (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒木 | 作成日時:2019年8月23日 17時