第212話 ページ47
「はぁーブラック企業ブラック企業、今時意地悪してくる奴なんてモテやしないんだよこんチクショー女子供は大事に扱えってかぁちゃん習わなかったのかクソがぁ」
チキチキと溜まりに溜まった仕事を片付ける。公安案件然り、組織案件然り。つまりどっちもブラック企業。世も末である。
最後の仕事を終えてエンターキーを力強くタップすると、私はだらりと背もたれに全てを委ねる。
時計がさすのは12時。遅くはない。決して。しかしこれが昨夜の8時から始まった作業だと思い出せば天を仰ぐほかない。
「27時間勤務乙」
いっそこのまま寝てしまおうかと目を閉じる、と、同時にガタタタン!!とベランダから大きな音がして私は飛び起きた。
(えっ!はっ?えっ!?敵襲?んな馬鹿な!?)
慌てて部屋中の明かりを消して外の様子を伺う。ちらりとカーテンの隙間から除けばそこにはなんと血濡れた怪盗キッドがいるではないか!!
(いや、かんべしてくれよ本当)
私は構えていた銃をしまって、カラリとベランダに通づる窓を開ける。
「おーい、……意識はあるね」
私に抱きあげられ、二ヘラと笑うこやつを忌々しく思いながらも指紋手袋の借りがあるので傷に触れないようリビングのソファーへ運び込む。
「眠い?」
「ぃや、でーじょーぶ」
カッスカスの声に水を用意して飲ませてやる。
「銃弾が掠っただけ?」
傷口を確認するとキッドはそーでーすと軽く返す。が、返事ほど軽いものでもなく、かなり痛いのが予想される傷口に思わず舌打ちを打つ。
「ちょうど切らしたばっかなんだよなぁ」
私はキッドの頭を撫で付け傷口のある部分を縛って5分で戻ると告げて家を飛び出した。
コンビニ袋を振り回さないよう短く持って走る。
「ねっ、おねーさん」
信号待ちのところで声をかけられ振り返ると数人のなんとも鬱陶しいとしか形容のできない輩がいた。
「なんでしょう?」
「危ないよー?こんな時間に外をうろついてたらぁ」
「はぁ、それで?」
「いいやぁ?お兄さんたち優しいから注意してあげようと思ってさぁ?」
「そうですかどうも」
そう言って前を向きなおすと、彼らは機嫌を悪くして私との距離を詰めたのが気配でわかった。
(あいにくこっちも不眠不休の27時間就業でイライラしてんだよ……五人だったか。よし、コンマ5秒でケリをつけよう)
振り下ろされた腕に手を伸ばすまでと言ったところで何者かが私と彼らの間に入り込んだ。
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黒木(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます、一気読み!?嬉しいです、今後とも本作をよろしくお願いします! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - りーさん» ありがとうございます、嬉しいです。更新致しました、読んでいただけたら幸いです、 (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - リオさん» こちらこそコメントありがとうございます!正解です!!キャラが関わるほどではなかったのでクロスオーバーのタグ等はないのですが、誰か気がつかないかな〜なんて思って書いたんです。ありがとうございます! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - もってり子さん» ありがとうございます。嬉しいです、更新致しました、楽しんでいただけたら幸いです! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - 液体さん» コメントありがとうございます!更新致しました、読んでいただけたら幸いです (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒木 | 作成日時:2019年8月23日 17時