◆ ページ29
#2ー2
◇◇◇
ガッチャン。
扉が閉まったところで頬を叩かれて叩き起こされる。
「おい寝んな死ぬぞ」
水も滴るいい男となっている松田は洗面所の扉を開けてお風呂場に私を下ろしあったかいお湯に設定したシャワーを私に向かってぶっかけた。
徐々に凍るような寒さは消え失せひたすらに暑さが頭をガンガンと殴りつけてくる。
松田はそっと私の腕に触れて体温を確認した。
「寒いか?」
「いや、今は熱いだけ…」
そう答えると松田は私にシャワーヘッドを握らせて風呂場から出る。
戻ってくるとシャワーを止めて私を大きなバスタオルで包みそのまま抱き上げてリビングのソファーへと今度は降ろした。
「着替え、これでいいか?」
パジャマを手渡され気まずそうに目をそらされる。
(流石に着替えはやらんか)
私はパジャマを受け取ってふらつく体を倒れないように踏ん張りながら着替える。
自身も濡れていたので着替えたらしい松田は戻って来て私を足の間に座らせて髪を乾かし始めた。
「ゲホッゲホッ」
咳で体を震わせると、後ろ髪から先に乾かしたらしい松田は私の肩を引っ張って自身にもたれかからせてくれた。
不意に松田の手のひらが私の額に触れる。
「信じらんねぇ熱酷いぞ」
髪を乾かし終わったようで、また私を抱き上げて、松田は懐かしいベッドへと私を下ろした。
「なんで、酒なんかお前高2だろ。風邪はいつから引いてんだ?つか傘させよ…」
何故か弱々しげに呟かれる言葉に場違いだろうが嬉しさが私を満たした。
「松田、私のこと、嫌いなはずなのに優、しいね」
「馬鹿野郎、腐っても警察だぞ」
「ははっ、自分で、腐るとか、言って、る…」
「……もう喋んな」
苦々しげに顔をそらした松田は何を思ってか立ち上がる。
「待て、寝る前に水「どこ行くの?」あ?だから「どこ行くの?」………」
松田は私の顔をまじまじと見つめて同じところへ座り込んだ。
「お前、熱に浮かされてんだろ」
「風邪引いてるよ?」
「なんでそんな微妙に分かりにくい感じで人格変わってんだよ」
松田はため息をつき私の髪をそっと搔きわける。
「もういいから寝ろ」
「松田の手、気持ちいいね」
突然撫でていた手を掴まれて頬ずりをされるのに松田は驚いて固まる。
648人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒木(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます、一気読み!?嬉しいです、今後とも本作をよろしくお願いします! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - りーさん» ありがとうございます、嬉しいです。更新致しました、読んでいただけたら幸いです、 (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - リオさん» こちらこそコメントありがとうございます!正解です!!キャラが関わるほどではなかったのでクロスオーバーのタグ等はないのですが、誰か気がつかないかな〜なんて思って書いたんです。ありがとうございます! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - もってり子さん» ありがとうございます。嬉しいです、更新致しました、楽しんでいただけたら幸いです! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - 液体さん» コメントありがとうございます!更新致しました、読んでいただけたら幸いです (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:黒木 | 作成日時:2019年8月23日 17時