第195話 ページ18
「そう、その上にある周りよりも太いコードを切って」
「切りました」
「……思ったんだけど、Aちゃんは躊躇したりしないんだね」
「…してる暇はないので」
「そっか」
「これ、沢山あるだけでどれも同じタイプみたいです。この後はできそうですけど、繋いだままでいいですか?」
「そりゃもちろん」
笑いを含んだ柔らかい声が電話の向こうから聴こえてくる。
表示板には27分35秒と示され、今もなおその数字は減っていっていた。
「あとどのくらいあるの?」
「6つですかね…けど、半分は切りましたよ。ここからは集中力との戦いって感じです」
そう答えると萩原はこちらを気遣うような声をかけてくれる。
「大丈夫そう?」
「まぁ私は、く…コナンくんと服部くんは一応休憩とってるみたいです。やっぱり私も休憩します」
「わかった」
一度爆弾から目をそらして窓の外を眺める。ここで起こってることが嘘のように平和な街だ。
「…ねぇAちゃん、前にさ、松田がAちゃんのことが嫌いだって言ったの覚えてる?」
不意に萩原は私に尋ねた。
「え?あぁ…腹の中で相手を馬鹿にしているようで嫌いだってやつですか?」
「そうそう」
「覚えてますよ?」
「それね、嘘だから」
「……なんで萩原さんがそんなことを?」
「…………なんていうかさ、俺と松田は高校時代からのダチだったんだけど、もう一人いたんだ。雪平Aって言って松田の彼女」
「私と同じ名前ですね」
「うん、名前だけじゃないんだ。顔もそっくり。それときっとこれは思い込みなのかもしれないけど声も」
「思い込み?」
「その子は三年前から行方が分からないから」
「え…」
「多分ね。多分、死んだことになってるんだよ。俺は誰からも聞いてないんだけど、周りの奴らの空気とかそう言うのが、ね」
「…………そうなんですね、」
「松田はどうしてもAちゃんの中に見ちゃうんだよ、その子の影をさ。だからあまり気にしないで、本当は頭でもわかってるんだろうけど…」
「………」
「だから松田も本気じゃない、だからもう都合がいい話かもしれないけど忘れてやって」
ごめんねと萩原は呟く。
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黒木(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます、一気読み!?嬉しいです、今後とも本作をよろしくお願いします! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - りーさん» ありがとうございます、嬉しいです。更新致しました、読んでいただけたら幸いです、 (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - リオさん» こちらこそコメントありがとうございます!正解です!!キャラが関わるほどではなかったのでクロスオーバーのタグ等はないのですが、誰か気がつかないかな〜なんて思って書いたんです。ありがとうございます! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - もってり子さん» ありがとうございます。嬉しいです、更新致しました、楽しんでいただけたら幸いです! (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - 液体さん» コメントありがとうございます!更新致しました、読んでいただけたら幸いです (2020年9月16日 19時) (レス) id: 12a6d1a355 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒木 | 作成日時:2019年8月23日 17時